花の少ない早春、桜が咲きだす前に開花し、芳香も楽しめる梅の木は、日本でも古くから人気の高い花木です。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉がありますが、剪定に弱い桜に対して、梅は剪定に強く、剪定した方が新しい枝が出て、花付きが良くなることからきています。
この記事では梅をバッサリとカットする強剪定する意味、強剪定をする時期、方法について解説します。
梅はバッサリ切っても大丈夫?
梅は剪定時期を守れば、バッサリ剪定しても枯れることはほとんどありません。
むしろ、切った枝を再生しようとする働きから、枝数が増えて、結果的に花付きが良くなるのです。
切る場所についても、バラのように、新芽の場所に注意を払わなくても、新芽が出るポイント以外からも芽を出すので、それほど難易度は高くないと言えます。
梅を強剪定するのは高さ・樹形調節のため
梅を強剪定するのは、植えつけから4年以上経過して、ある程度大きく育った状態になってからです。
梅の成木は樹高10m程度まで成長します。
庭木ではあまり高くなるのも困るので、芯止めを行って高さを抑えますが、それ以外の枝が高く伸びて主幹にとって代わり、大きく育つことがあります。
高く育った枝を切って、短くする剪定を繰り返していけば、樹高を小さく抑えることが可能です。
また、梅はどんどん新枝を増やすので、樹形が崩れます。
樹形を整えるためにも、バッサリ切り落とす強剪定が必要です。
梅をバッサリ剪定していいのは冬だけ
春から夏にかけて葉が茂ると、風通しが気になるものですが、生育期である春から秋の強剪定はNGです。
生育期に強剪定を行うと、傷口を再生させようと、エネルギーや栄養を使い過ぎて、木全体の樹勢を損なうことに繋がります。
樹勢が弱くなると、害虫や病気の被害を受けやすくなってしまいます。
更に、養分やエネルギーが切ったところに集中すことで、枝が出過ぎたり徒長したりと、樹形の乱れがひどくなることもあるのです。
休眠期である12月から1月であれば、バッサリ剪定しても、徒長枝が出過ぎる心配はありません。
また梅は比較的病害虫に罹りやすい樹木です。
葉や新枝が茂って風通しが悪くなると、かいよう病・黒星病、灰色かび病、すす斑病などの原因になります。
葉がなくて全体像が見やすい時期に、不要枝を整理することで、健康な生育の助けになります。
注意したいのは、梅の花芽は休眠前に形成されているということです。
花芽は開花後の7月頃から作られ、10月頃には完全に形成されます。
その後の強剪定で花芽の付いた枝を切ってしまうと、その年は開花が見込めないので注意しましょう。
梅の強剪定をする方法
まず木の大きさを調整します。
梅は太い枝から、細い枝(長果枝、中果枝、短果枝)を伸ばします。
この枝の分岐点で剪定しましょう。
枝切ばさみで切れない太い枝は、剪定のこぎりを使用します。
分岐点から複数本の、細い枝(長果枝、中果枝、短果枝)が出ているときは、1本だけ残して、他は根元から切り落とします。
残した長果枝は1/4ほど切り詰めます。
このとき、芽が幹側を向いた内芽ではなく、幹と反対方向についた外目の少し上で切ると、伸びてきたときに交差しにくくなるので、気を付けてみて下さい。
枝の長さを調節したら、次に古い枝、交差している枝、太い枝の途中から伸びた徒長した枝を間引きます。
間引き剪定は根元から切りましょう。
太い枝を切り落とした後は、カルスメイト、トップジンMペーストなどの癒合剤や、墨汁を塗布しておくと、傷口をカビや菌から守ることができて安心です。
梅の枝は硬いので、ケガに注意してください。
落ちた枝を踏むと、靴の底を突き抜けることもあるといいます。
底がしっかりした靴、厚手の長袖・長ズボンで作業しましょう。
しだれ梅の剪定
梅の一種で、しなやかな枝が地面に向かって垂れたように伸びる「しだれ梅」の剪定も、冬が適期です。
枝が増えすぎると、重なった枝に日が当たらなくなったり、風通しが悪くなるので、内側に入った枝、古い枝、混んだ場所の枝を根元から切り落とします。
しだれ梅の枝は、柔らかそうに見えて、かなり固いので剪定のこぎりを用意しましょう。
花芽と葉芽の見分け方
大幅に切り戻しする際は、難しいかもしれませんが、剪定のときについている花芽を残して切ることができれば、強剪定した後でも、花を咲かせることができます。
梅の新芽には2種類あり、花が咲く花芽・葉がになる葉芽というものです。
同じように枝についた粒のような芽ですが、よく見ると、花芽は丸みを帯びた形で、葉芽は先が少し細く尖ったような形をしています。
剪定するとき、花芽を少し残しておくと、コンパクトにしながら、開花も見られるので、観察しながら剪定してみて下さい。
まとめ
梅は定期的な剪定で、適切なサイズで育てられる樹木でした。
特に注意したいのは、強剪定は冬に行う!ということですね。
綺麗な花を長く楽しむには、冬に思い切ってバッサリ剪定してみましょう!