春から初夏にかけて、可憐な青や白の花をつけるツルニチニチソウは、日当たりの悪い場所でも育ち、暑さ寒さにも強い強健な植物です。
斑入りや覆輪のある葉は、鑑賞的価値が高い一方で、広がり過ぎたツルニチニチソウに手を焼く人も…。
実はツルニチニチソウは、植えてはいけない、植えるのに注意が必要な植物なのです!
検索サイトでも「ツルニチニチソウ 駆除」がサジェストに挙がっていて、多くの人が増えすぎて困っていることがわかります。
そこで今回は、なぜツルニチニチソウを植えてはいけないのか、詳しくご説明します。
ツルニチニチソウとは
キョウチクトウ科ツルニチニチソウ(ビンカ)属のつる性の亜低木です。
原産は南ヨーロッパで、日本では帰化植物とされています。
花の色がキキョウに似ているのでツルギキョウと呼ばれていることもありますが、キキョウ科のツルギキョウとは別の植物です。
日本では観賞用の植物として、ツルニチニチソウと小型のヒメツルニチニチソウが知られています。
花期は3月下旬から6月で、青や白の花が付きます。
葉は緑一色のものや、乳白色や黄色の斑入り・覆輪のものがあり、リーフプランツとしては斑入りのものが人気です。
日向から明るい日陰で栽培可能で、病害虫に強い性質から、園芸初心者にも育てやすい植物でもあります。
つるがよく伸びるので、ハンギングやグランドカバーに使われるケースもありますが、ハンギングから伸びたつるが他の鉢に根を張ってしまうこともあるほど生育旺盛な植物です。
なぜツルニチニチソウをうえてはいけないの?
ツルニチニチソウを植えてはいけない一番の理由は「広がりすぎる」点にあります。
もともと観賞用に栽培されていたものの、広がりすぎて手に負えなくなったり、空家の庭から溢れだして雑草化している光景を目にしたことはありませんか?
その勢いは、環境省の指定する、生態系被害防止外来種リストの重点対策外来種に指定されているほどです。
ツルニチニチソウは、アサガオのようにフェンスなどに絡み付いて伸びることはありませんが、つるの節目から根を張ります。
そして気根で根づいたところが新しい株となり、どんどん新しいつるを伸ばし…というように最初は1株だったツルニチニチソウが、あっという間に周辺を覆い尽くしてきます。
日当たりや温度、病害虫に強いため、他の植物がそれほど大きく育たないような場所でも大増殖してしまうのです。
他の花と一緒に植えていても、ツルニチニチソウだけが大きく繁殖し、他の花が育たないということもあります。
特に、狭いエリアでの栽培は、すぐに増えて溢れ出してしまうのでおすすめできません。
ツルニチニチソウの生命力が強い
また、ツルニチニチソウの生命力の強さは目を見張るものがあります。
抜いたあと、土中に残っている根から新しいつるが伸びてきたり、剪定したつるが、地面に落ちたところから、根付いて新しい株となるケースもあります。
挿し芽で増やしたい場合は、この生命力の強さが嬉しいのですが、除草したい場合には厄介です。
ツルニチニチソウには毒がある?
もう一点、気を付けたいのがツルニチニチソウの毒性です。
ツルニチニチソウは「アルカロイド」という成分を含んでいて、この成分に毒性があります。
通常、ツルニチニチソウを口に入れることはありませんし、含まれるアルカロイドもごく微量なので、観賞用に植えるには問題ありませんが、ペットを庭で飼ったり遊ばせる機会が多い場合は避けた方がいいかもしれません。
また、ツルニチニチソウを切ったときに出る汁は、肌の弱い人には刺激になってかぶれることがあるので、剪定の際はご注意ください。
ツルニチニチソウと上手に付き合うには
なかなか手ごわそうなツルニチニチソウですが、やはり鑑賞用にはとても魅力的な部分もあります。
では、どのような管理をしていけばいいのでしょうか。
増えすぎないように剪定する
増えすぎないようにコントロールして育てるために、一番大切なのは剪定です。
エリア外に伸びてしまったつるから、根を張ってしまう前に、剪定しておきましょう。
古いつるは株元で切り詰め、新しいつるは半分ほどの長さに切ってしまっても株が弱るということはありません。
増えすぎたつるを整理して、風通しを良くしておくことは、ツルニチニチソウを病害虫から守るためにも有効です。
剪定したつるは袋にまとめて、そこから根が付かないように注意が必要です。
地植えで増えすぎるのが心配な方は、鉢植えやハンギングでの栽培がおすすめです。
ただ、鉢植えでも伸びたつるからの繁殖を防ぐため、伸びたつるが隣の鉢や地面に着く前に、小まめに切り戻しましょう。
ツルニチニチソウを取り除く方法
今植わっているツルニチニチソウを完全に除草したい場合は、グリサホート系の除草剤を活用するか、土を深く掘って、根を完全に抜いてしまう必要があります。
植物の根は一度に全部抜くのは難しいので、数年かかることもありますが、除草剤を使えない場合には、根気強く手で抜く方法が確実です。
増えすぎて手に負えなくなるのは困りますが、可愛い花と美しい葉を楽しめる、ツルニチニチソウ。
適正な管理で、増やし過ぎないように気を付けて楽しんでください。