世界的に品種改良が進められているバラは、既に3万品種に達していると言われています。
こうした膨大なバラにおける品種群の中には、ラティスやアーチなどに絡めて楽しめるつるバラが含まれていることをご存知でしょうか?
高い人気を誇るつるバラの性質や特徴を押さえた上で、おすすめの種類と品種や注目したい品質について取り上げてみましょう。
つるバラとは?
バラの樹形には木立ち性とつる性のほか、半つる性と呼ばれるタイプがそれぞれ存在しています。
まず、ブッシュとも表現される木立ち性のタイプは、壁面やフェンスなどへの誘因を必要としないバラの樹形です。
対して、つる性のタイプは枝が長く伸びやすい特徴を備え、自立が困難なために構造物への誘因が求められる樹形になっています。
半つる性のタイプは木立ち性とつる性における中間の樹形に相当しますが、つる性と同様に支え無しの自立はできません。
総じてつる性のバラがつるバラと称されるタイプであり、花色や大きさの違いなど魅力あふれる品種が数多く登場しています。
つるバラの性質はどのようなもの?
開花までの日数計算が可能なバラを四季咲きと呼び、このようなバラは基本的に季節問わず開花が安定して行われます。
その一方でつるバラは開花が不安定な性質を持ち、剪定しても開花の時期を調整できないことが知られています。
つるバラにおいては開花していない間に枝が伸び続けますから、花を付けない枝が増えやすいのも本質のひとつです。
さらにつるという言葉が用いられているものの、つる性植物とは異なり、伸びた枝は自ら絡みついていく性質ではありません。
あくまでも枝が長く伸びるだけなので、つるバラを育てるときにはアーチや支柱への誘因を失敗しないように注意しましょう。
なお、つるバラにおける枝の伸長は、1年間で1メートルから6メートルと品種に応じて大きな差が見られます。
つるバラの種類には一季咲き性と返り咲き性がある
一季咲き性のつるバラは、年間通して春にのみ開花し、春以外の季節は枝をひたすら伸ばしていく種類です。
枝に節が残りにくいことに加えて、1年間の伸長力が強く、誘因もしやすいためにこの種類は初心者向きかもしれません。
一季咲き性のつるバラと違って、春以降も開花を期待できる種類が、返り咲き性のつるバラになります。
返り咲き性のつるバラは開花の安定性を備えないこともあって、枝が固くなりやすい上に節が増えていきます。
もちろん返り咲き性の種類では、伸長力が一季咲き性と比べて弱いため、つるバラの大きさを抑えたい人にあっているでしょう。
つるバラにおけるおすすめの系統と人気の品種とは
膨大な品種があるバラ選びでは、系統という分類方法が大いに役立ちます。
系統を踏まえたつるバラの代表的な品種群は以下の通りです。
★つるバラの名花や様々な品種を揃えるクライミング
★伸長力と枝の自由性に優れ耐病性も期待できるランブラー
★古くから地球に自生していたことで病害虫耐性が強い原種
★薬剤師のバラとしても有名な赤やピンクの花色が美しいガリカ
★ガリカと対称的な白の花色と爽やかな香りが特徴のアルバ
★ダマスク香と花弁数の多さが魅力的なケンティフォリア
★返り咲き性の主要な系統に当てはまるハイブリッドムスク
★どの系統にも属さない品種群のシュラブ
つるバラの系統はこのほかにも様々ですが、クライミングとランブラーが一般的におすすめされている系統になるでしょう。
クライミングにおいては、つるアイスバーグやレイニーブルーのほか、アンジェラとピエールドロンサールなどの品種が人気を集めています。
ランブラーであれば、ポールズヒマラヤンムスクやアルベリックバルビエが好まれているようです。
つるバラの品質で重視したいポイント
つるバラを育てる場合には、うどんこ病と黒星病に注意しなければいけません。
水や肥料を与え過ぎると全体が白くなるうどんこ病にかかりますし、水やりの際に葉へ水がかかると黒星病に感染するリスクが考えられます。
さらにアブラムシなどの害虫被害もあり得ますので、つるバラを入手するときにはなるべく耐性を備えた品種が向いています。
つるバラの品質チェックでは、耐病性と耐害虫だけでなく強健性もカバーしたものを選ぶように心がけましょう。
また、バラの専門店で取り扱っているつるバラには、品質保証制度が付けられている場合が見られます。
丈夫かつ健康につるバラを育てていきたければ、購入先を厳選するなどバラ苗自体の品質にこだわるのも重要なポイントになります。
バラの樹形に数えられ、開花が安定しない代わりに枝の伸長力に特化しているのがつるバラです。
つるバラは構造物に絡めつつ育てられるため、つるバラの栽培を続けるなら庭をバラ園にすることも不可能ではありません。
一季咲き性のつるバラは初心者向きになり、返り咲き性の種類はコンパクトなつるバラを育てたい人におすすめできます。 つるバラの品種に悩む場合には、クライミングやランブラーという系統から自分にあったものを探してみましょう。