およそ樹木の剪定の目的は、美しい樹形の保持と修正をして樹と樹の競争を緩和し、日光を受けやすく、また、風通しをよくすることにあります。
風通しを良くすることは病害虫発生の予防にもなりますし、整姿、剪定を行うことで枯死や倒木、枝折れ等を防止することにもなります。
通常の椿の剪定
通常、椿のように常緑広葉樹の剪定は、花の終わった後4~5月頃に行います。花後に樹形を整え、6~8月頃には、混み過ぎた枝や樹冠を乱した枝を間引く程度に軽く行います。
台風による倒木等の防止の目的もあります。9~11月には花芽のことを考えて余り強い剪定は避けるようにしします。
何年も手入れしない椿の剪定手順
何年も手入れしない椿の木では、枝が密集し、内部には日の光が通らない状況になっていて、病害虫がついていることもあります。
このような場合には、早速手入れに取りかかる必要がありますが、梅雨時期までなら適期ですが、真夏の暑い乾燥した時期は避けます。
手順は初めに全体の樹形を見て、好みの形に沿うようにおおよその形に樹冠を整えます。
次に芯を立てるようにして、木の頂部の方から不要な枝を間引いていきます。
いきなり大きく切ってしまうのではなく少しずつ全体を見ながら進めていきます。間引いていく対象は、まず枯れた枝、密生しすぎた枝、弱いひょろひょろした枝、逆に伸びすぎた強い枝、絡み枝等です。
からみ枝とは枝と枝が交差したり、細い枝が別の枝に絡んでいる枝等です。
木の幹から直接出ている銅ぶき芽やひこばえも除きます。
これらを切り取ってから、残した枝について、枝すかしをします。下向きに出た不要な枝は切り、各枝の元葉を2~3枚残して、おわりに枝の先端部分を切り詰めていきます。
椿の花は今年出た葉のところに咲くので、新しい枝はなるべく残して古い枝を切ります。枝に花が咲くので、古い枝を全体に形を見てはみ出した部分を整え、樹の中にまで光と風が通るようになれば完了です。
剪定後の処理について
大きく枝を剪定した後は、雨水等で腐ったりするのを防ぐためトップジンMペースト等の癒合促進剤をぬってビニール等で保護しておきます。
10月から11月には鍔恋がつぼみを持っているので見ながらつめていきます。
また、椿には、茶毒蛾がつきますので、卵や毛虫がまだ大きくならないで固まっていれば処理します。
カルホス乳剤やディプテレックス乳剤等の薬剤もありますが、劇薬なので取扱注意です。夏の暑い日や風のある日の散布は避けます。
カイガラムシもよくつきます。スミチオン乳剤やマラソン乳剤がききます。このような病害虫のついている枝は思い切って切り取ってしまうのも手です。