せんべいやお餅にして食べる事が多い栃の実ですが、すでに加工されたものを食べたことのある人は多いものの栃の実そのものを調理したことがあるという方は意外と少ないのではないでしょうか。
しかし、この栃の実は美味しいだけではなく健康効果も高い樹の実なので、栃の木を育てたり公園などで拾った時のために食べ方を知っておくと良いでしょう。
栃の実のアク抜き作業の工程
栃の実はアクが非常に強いのでそのまま食べることは出来ません。そのため、まずはアク抜きという作業が必要になります。
外殻を剥いて水の中に3日程度漬ける
アク抜きの方法は様々なものがありますが、家庭で行う場合には外殻を剥いて水の中に入れて3日程度漬けておきます。この水は定期的に交換した方が良いです。
保存する場合は天日干しを1週間、陰干しを1ヶ月半
この後、保存する場合には天日干しを1週間、陰干しを1ヶ月半ほど行います。次に、栃の実に熱湯をかけて2~3時間程度置くのですが、沸騰させたお湯の中に栃の実を入れてしまうという方法でも大丈夫です。すると、鬼皮が柔らかくなるので、ナイフなどを使用して鬼皮を剥いていきます。
川の流水などが使用できる環境であれば、剥いた栃の実をネットなどに入れて10日から2週間程度置いておくのですが、家庭の場合は水の中に浸けておきます。水は最初は特に泡立ち濁るので定期的に交換が必要です。
エグみを取る作業
次に、栃の実を鍋に入れて栃の実の約2倍の量の木灰をかけてから熱湯を注ぎます。使用する木灰はナラの灰が理想です。2日ほど置いてから洗ってエグみが残っているようなら、木灰の作業を繰り返しますが、あまりやり過ぎてしまうと味がなくなってしまうので注意が必要です。
以上でアク抜きの作業は終了で、栃餅にするのであれば蒸し器で蒸してもち米1升に対し3合程度の栃の実を入れて突けば栃餅の出来上がりになります。栃の実を入れることによって固くなりにくくなり、独特の優しい甘さなどが感じられるでしょう。
栃の実の健康効果
そんな栃の実ですが、健康面においても非常に優れた食材となっています。
ミネラル系の栄養素が豊富で、カリウム、銅、マンガンが多く含まれていますので、血圧が高めの方やむくみなどが気になるという方には嬉しい成分です。
大変なアク抜き作業が必要な栃の実ですが、アクの成分であるサポニンや渋みの成分であるタンニンは多量に摂取すると有害物質であるものの、皮膚トラブルを改善させてくれる成分でもあります。
栃の実は他にも、血糖値の上昇を抑える効果や活性酸素を除去する効果、胃の調子を整えてくれる効果などが期待できます。