針葉樹という用語は知っているけれど、具体的にどのような植物なのかわからないという方も多いのではないでしょうか?
針葉樹は、森を構成する重要な植物の一つです。木材としても重用されており、毎日の生活において欠かすことはできません。
今回は、そんな針葉樹に注目して特徴や具体的な植物の例についてまとめました。活用方法についても紹介しているので、是非参考にして下さい。
広葉樹と比較した針葉樹の特徴
針葉樹の特徴を説明するために、対照的な存在である広葉樹と比較していきます。針葉樹は、その名の通り針のように細長く尖った葉を持つ植物です。
ただし、一部には広葉樹のように広くて平べったい葉を持つ種類もあります。葉の輪郭がギザギザしていて先端が尖っているものや針状の葉が無数に集結しているものなど、一口に針葉樹と言っても様々です。
また、多くの針葉樹は常緑性で年間を通して葉の見た目は変わりませんが、中には冬場に落葉する種類も存在しています。樹木全体のフォルムを比較すると、枝分かれして横に広がり丸い輪郭を持つ広葉樹に対して針葉樹の場合は先が尖って上に伸びた樹形をしています。
基本としてすらりと伸びた幹が背骨のように一本通っており、葉が上に向かって細長く繁っているような形です。針葉樹は主に温帯の北部から冷帯にかけて分布しており、その種類は数百種類にも及びます。
広葉樹に比べて寒さに強いという特徴を持っているため、北欧の国々や標高の高い地域にも自生しやすい植物です。過酷な環境にも適用できる特性を活かし、人工樹林も盛んに作られています。
広葉樹の森は繁茂によって地面に光が届かなくなることから頻繁な間伐が必要になりますが、上に向かって伸びるスマートな形の針葉樹はそのままにしておいても問題ありません。手がかからず育てやすいという面でも人工樹林に適しています。
針葉樹に分類される樹木
針葉樹の代表的なものとして、スギやヒノキが挙げられます。
スギは針状の硬い葉を持ち、一本の枝に密集して並んでいます。若い時期は細い幹を持ちますが、育つ環境によっては樹齢を重ねるにつれてその太さを増すのが特徴です。雄花と雌花があり、風に媒介されることによって毬状果実をつけます。
対してヒノキの葉は、スギほどは尖っておらずウロコのような独特な丸い形をしています。葉の枝へのつき方や受粉の仕組みについてはスギと同様です。スギやヒノキは針葉樹の標準的な特徴を持つ植物ですが、中にはいくつか例外もあります。
例えば、カラマツは秋に黄色に変色して冬に葉を落とす落葉性の針葉樹です。日本において落葉する針葉樹はカラマツのみとされています。また、針葉樹でありながら広くて平べったい形状の葉を持つ植物としてナギがあります。この植物の葉は、一見すると広葉樹と間違えるほど丸みを帯びた柔らかい形状をしています。
針葉樹の活用方法
針葉樹は、その特性を活かして様々な場面で利用されています。スギを代表とする針葉樹は人工的に植樹して木材などに加工されており、根が地中深くまで伸びて地盤を強くする働きがあることから土砂災害を予防する目的で植えられることもあります。
また、塩害に強いクロマツなどは海岸線に沿って植樹されることが多く、海風から周辺の民家を守る役割を果たしています。
木材という観点から針葉樹を見ると、真っ直ぐに伸びていて使いやすいというメリットがあります。広葉樹に比べて伸びるのが速いため必然的に密度が低くなり、木材としては軽量です。手作業でも加工しやすく扱いやすいという特徴により、昔から緻密な細工が必要な柱や梁などに使用されてきました。
その他、建具の材料などにもよく用いられています。軽くて柔らかな針葉樹の木材は、ホゾの形状に切り出して組むことによって後からぴったりと接合し頑丈な構造となります。
密度は低いものの加工によって強度を高めることができるため、針葉樹は木工に欠かせない材料として評価されています。