セツブンソウは節分の季節である2月~3月にかけて開花する、キンポウゲ科の多年草です。
白いガクが花びらのように見える、小さくて可憐な花として人気があります。
今では貴重な花とされているセツブンソウの、育て方と魅力についてまとめていきましょう。
絶滅が危惧される貴重な花の群生地
セツブンソウは主として、関東よりも西部の地域で見られる野草です。
最近は環境の問題や摘んで帰る人が増えたことから数が減ってきていて、政府から絶滅危惧種に認定されています。
園芸用の花としても人気がありますが、自然の土壌と相性がいいと群生するのが特徴です。
寒さに強く雪の中でもしっかり開花準備して、春の訪れとともに開花するのが特徴です。
長野県千曲市にはセツブンソウの群生地が戸倉と倉科にあり、市の指定天然記念物に認定されています。
石灰岩のある土壌を好むため山地に群生することが多く、見頃の季節になると千曲市には開花情報の問い合わせが殺到するようです。
自然のセツブンソウを守るために、以前は一般公開されていませんでしたが、2006年に市民自ら道を整備して一般にも解放されるようになりました。
貴重な花を絶やさないように、戸倉ではセツブンソウを育てる会を作り、毎日セツブンソウの群生地の見回りを行なっています。
セツブンソウの群生地があっても、盗難を避けるため場所を公開しない自治体も多い中、千曲市は直にセツブンソウを眺められる希少な地域です。
愛らしさとたくましさの両面をもつ花言葉
白くて小さなセツブンソウは、その姿がまるで愛らしく微笑んでいるように見えるため、微笑みという花言葉があります。
眺めている人が癒されて、自然と微笑んでしまうことからつけられたのかもしれません。
さらに気品や、光輝という花言葉もあり、小さい花ながら寒い中でも凛と育つ品格を感じられます。
開花時期が4ヶ月ほどと短いことも、気品を表しているといわれています。
また光り輝くと書く光輝には、名誉や伝統という意味合いも含まれています。
それとは打って変わって、人間嫌いや拒絶という花言葉もセツブンソウにはあります。
セツブンソウは元々山の中で、人目を避けてひっそりとたくましく咲いていたため、このような花言葉がつけられたのでしょう。
セツブンソウは人間の手によって勝手に持ち去られると、環境の変化で枯れてしまうという特徴も表しています。
環境保護を考えない人は、セツブンソウに嫌われ拒絶されるという意味もあるのかもしれないので、気をつけなければいけませんね。
人気のあるセツブンソウの自生地
セツブンソウの自生地として有名で、毎年3月上旬に節分草祭りが開催されているのが、埼玉県秩父市の小鹿野町です。
自生地の規模は日本一大きいといわれていて、なんと5000㎡の大きさ一面に、白いセツブンソウが咲く光景は圧巻です。
節分草祭りでは、出店が出たり甘酒のふるまいもあったりしますので、興味のある人はぜひ参加してみてください。
いくつかある自生地の中でも、栃木市の四季の森星野はセツブンソウの北限といわれています。
規模的にはそんなに広くはありませんが、近くでセツブンソウを眺めたい人にはおすすめです。
関西や中国地方にはセツブンソウの自生地がたくさんあり、広島県庄原市では自生地を巡るスタンプラリーもあるようです。
たくさん自生地を巡ってスタンプを集めると、抽選でプレゼントがもらえる企画もあるので楽しみですね。
滋賀県米原市でもセツブンソウふれあい祭りが開催されて、毎年たくさんの人で賑わっています。
セツブンソウが自然に咲いている森の中に入ることもできるので、貴重なセツブンソウを堪能できると思います。
セツブンソウの上手な育て方
セツブンソウの育て方のポイントは、自生地である森林の中と似たような自然環境を作ってあげることです。
開花するまでの早春の季節はよく日の当たる暖かい場所に置き、花の時期が終わった後は日陰で管理します。
セツブンソウは初夏には地上に出ている茎や葉は枯れて、球根のみの状態になります。
基本的に寒さに強く暑さに弱い植物なので、土の温度が上がりすぎると球根が痛んだり枯れたりしますので、この時期の直射日光は厳禁です。
庭に植えるなら、落葉樹の下が最も適しています。
プランターで育てる場合は、軽石砂に赤玉土や鹿沼土を混ぜて、水はけと通気性を重視します。
水やりは庭植えの場合は自然雨で、地上部分がある開花期のみ乾燥に応じて花に水がかからないように水やりしましょう。
肥料は与えなくても枯れることはありませんが、次の年もたくさん花を咲かせたいなら液体肥料を与えると効果的です。
肥料を与える時期は、開花の時期から地上部分が枯れるまでの間、2週間に1度くらいの間隔で十分です。
希少価値のあるセツブンソウは、自生する地域も限られているため、一度も見たことがないという人も少なくないと思います。
一度自生地を訪れた人は、その魅力に毎年足を運ぶというセツブンソウを、ぜひ鑑賞しに出かけてみてはいかがでしょうか。