ガーデニングの初心者にピッタリな育てやすさを備えるセッコクは、着生植物の特性を持つ多年草です。
このようなセッコクの育て方や、育てるときに知っておきたい基本情報をチェックしてみましょう。
セッコクとは
日本の中部以南や中国などが原産で山地や岩場に自生するセッコクは、ラン科セッコク属の着生植物です。
セッコクの草丈は5センチから40センチほどになり、土壌に根を下ろすよりも木の上や岩盤に根を張る形で育つ性質を備えています。
そのため、育てて大株になったセッコクであれば、庭木に植え替えをしても大いに楽しめるでしょう。
セッコクは多数の節を持った緑色や黒紫色の堅くて太い茎を揃え、4月から6月にかけて品種に応じた色合いの花を咲かせます。
花の大きさは3センチほどになりますが、ほのかな香りも併せ持ちますので、ガーデニングでセッコクを扱う人は少なくありません。
さらにセッコクは薬用植物としても知られ、漢方で利用されていますし、花言葉も薬効にちなんだものが付けられています。
もちろんセッコクの原産国は日本ですから、外での栽培を行いやすく、初心者向けの育て方が簡単な多年草に該当します。
セッコクには様々な花色が存在する
セッコクは日本国内に100種類ほど品種があって、代表的な花色と品種には以下のようなものが並んでいます。
★赤紫の花を咲かせる万里紅と紅花系に該当する雷山
★落ち着いた雰囲気を持った白い花が咲く香雪や朝霧
★可愛らしい桃花が咲く十六夜や京有楽
★希少な黄色の花を咲かせる黄蝶や右近丸
★開花後数日のみ緑花が続く五鈴緑や氷上の緑
★緑色が退色せずに最後まで保たれる保色緑花の緑水晶や緑峰
セッコクの品種を厳選すれば、自分が求める花色に近いセッコクを育てられます。
とは言え、花色はあくまでも栽培条件などによって変化しますから、開花後の花色を楽しみにしたい人にセッコクは向いているでしょう。
セッコクの育て方
そもそもセッコクは種をほとんどつけない上に発芽もしにくいので、苗を植える手法で育てることが一般的です。
通気性に優れた鉢や着生させる庭木などを用意しつつ、春や秋にセッコクの植えつけを実践していきます。
セッコクにおいては春や秋に日当たりを好みますが、夏は逆に明るめの日蔭に位置していることが望ましくなっています。
新芽の生長にあわせて葉焼けを防ぎ始め、花芽の充実期が過ぎた後には再び日当たりを優先していく方法が推奨されます。
庭木にセッコクを着生させる場合には、風の強くない箇所にひもで縛って固定し、しっかり根付くまで水をたくさん与えなくてはいけません。
春や秋ではなく冬にセッコクの着生を目指すのであれば、ひも以外にわらも巻いて寒さを和らげる方法がおすすめです。
なお、セッコクの水やりは、水はけの良い用土が乾かない程度で十分ですが、春には水を少し多めに調整してください。
肥料は春に液体肥料で施して、植えつけや植え替えは2年に1回程度のペースで春に行いましょう。
セッコクを育てるときに知っておきたいポイント
根が鉢から出ている際には、春や秋はそのまま動かさず、冬になってから株元に巻き付けることが大切です。
梅雨の時期に屋外で育てているのなら、雨を受け過ぎないように配慮したり、冬には水やりを控えていくこともポイントにあげられます。
加えて、セッコクの手入れでは花がら摘みや傷んだ茎の除去も実行し、常に清潔な環境を維持しておくことも不可欠になっています。
こうしてポイントを並べると複雑に見えますが、セッコクは上から吊っても問題無く育ち、根付けば急激に成長していきます。
育てる場所の自由度は幅広いため、手入れの手間を考慮してもセッコクはガーデニングに活用しやすい植物といえるでしょう。
セッコクにて心配される病気や害虫
セッコクを育てるときに注意すべき病気には、葉がモザイク模様になるウイルス病と葉に黒い斑点ができてしまう黒斑病があります。
ウイルス病は伝染する性質を持ち、治療法どころか予防法すら無いので、もしも苗に確認されたなら処分で対処をしなくてはいけません。
これに対して、黒斑病は感染力こそあるものの、専用の薬剤を使えば対処可能です。
とは言っても、黒斑病は完治が難しい病気に当てはまりますから、通気性を良くすることで常に予防を心がけていきましょう。
また、アブラムシやナメクジのほか、ヨトウムシやバッタがセッコクにおける害虫に数えられます。
庭木や樹木を害するカイガラムシもセッコクに被害を与えるため、カイガラムシの幼虫を見つけたときには殺虫剤で駆除してください。
カイガラムシの成虫は、ガムテープやブラシを使った手作業にて排除できます。
ラン科セッコク属のセッコクは、花色のバリエーションや着生植物としての特性が魅力的な多年草です。
セッコクは苗を鉢植えで育てる方法に限らず、庭木や岩盤などに着生させる形でも楽しめる山野草になっています。
開花する花色は栽培条件によって変化が起きることに加え、セッコクはほのかな香りを持つ薬用植物でもあります。 総じてセッコクの栽培は、ガーデニングをより楽しみたい人にあっているでしょう。