神事や仏事で扱われやすい植物のサカキとヒサカキですが、これらには果たしてどのような違いがあるのでしょうか?
自生地や樹高など基本情報をそれぞれ押さえつつ、名称が似ているサカキとヒサカキの違いを見極めていきましょう。
サカキとは
日本国内や朝鮮半島のほか、台湾や中国を原産とするサカキは、モッコク科サカキ属の常緑小高木です。
樹高3メートルや4メートルほどの低木が多い一方で、サカキの中には樹高が12メートルを超えるものも存在しています。
サカキは常緑樹の庭木として植えられやすいものの、日本国内におけるサカキの分布は関東以西にほとんど限られています。
また、サカキの葉においては無毛で厚みを持った特徴を備え、葉の形は比較的大きい上にきれいな楕円形になっています。
葉の葉序は水平に広がった二列互生に該当するため、総じてサカキの枝先は玉串としての活用に適した形状といえるでしょう。
サカキが咲かせる白い花は非常に小さく、1個から4個が束状に出て下向きに咲く特徴を備えています。
サカキは神棚にお供えされる植物
古くからサカキの枝葉は神様が宿る依代として定着していますので、日本では神事や祭事にサカキを用いる習わしがあります。
サカキで作られた玉串は神道の神事に欠かせませんし、一般的に家庭の神棚にも榊立てに立てることでサカキは捧げられます。
ただし、サカキは温暖な気候を好む植物ですから、日本国内の寒い地域にはそもそも自生をしていません。
このようにサカキの入手が困難な地域では、サカキの代わりにヒサカキを神棚にお供えする場合も見られます。
神棚にはサカキの活用が向いていますが、もちろんヒサカキを使用してはならないわけではありません。
ヒサカキとは
四国や九州だけでなく関東以北など本州に幅広く自生するヒサカキは、モッコク科ヒサカキ属の常緑小高木です。
樹高は4メートルから8メートルほどになり、ヒサカキ属の近縁種には街路樹として使われやすいハマヒサカキも含まれています。
ヒサカキの葉はサカキと同じく楕円形かつ厚みを持った革質で、葉が水平に互生葉序していることもサカキとほぼ変わりません。
とは言っても、ヒサカキの葉はサカキより小振りになり、葉の縁に注目するとヒサカキならギザギザした鋸歯が見つかります。
加えて、ヒサカキは3月から4月に壺状の白い花を開花させますが、この花は見た目にあわない強烈な臭いを発します。
ヒサカキは仏壇にお供えされる植物
ビシャコやシバなど別名が多いヒサカキは、サカキの代わりに神事で役立つ以外に仏事であっても活用可能な植物です。
ヒサカキは仏花のように仏壇に供えられる植物に数えられ、ヒサカキは仏花の裏当てとしても使用されたりします。
仏壇へのお供えにサカキを使うことは禁止されていませんが、仏壇に神事で使うサカキをお供えすることは基本的に推奨されません。
手間なくヒサカキを入手できるのであれば、仏壇にはサカキのお供えよりもヒサカキのお供えを優先しましょう。
お供え時のお手入れ方法
サカキやヒサカキを神棚や仏壇にお供えする際には、雑菌の繁殖を防ぐためにこまめな容器のお手入れを行うことが大切です。
これらをお供えするときに使う容器は清潔に保たなくてはいけないので、水替え時には漂白剤で奥までしっかり殺菌を行ってください。
サカキやヒサカキそのものを流水で丁寧に洗ったり、葉が乾き過ぎないように霧吹きを使う方法もあっています。
なお、神棚で左右に置いた榊立てのうち、氏神様が宿った右側のサカキだけが枯れる場合には、吉兆という捉え方もできます。
右側のサカキだけが枯れることで氏神様が自分たちを守ってくれたときには、神棚に手を合わせて感謝することを忘れてはいけません。
サカキとヒサカキは何が違う?
サカキとヒサカキの名称は似ていますが、サカキ属とヒサカキ属で分類されているように全体的な特徴は大きく異なります。
明確にそれぞれの違いを見分けるためにも、あらかじめ知っておきたいポイントは以下の通りになります。
★サカキは関東以西でほぼ自生していてヒサカキは関東以北でも自生している
★樹高12メートル以上のサカキはあり得るがヒサカキの樹高は8メートルほどにしかならない
★サカキの葉は大きい一方でヒサカキの葉は小振りになっている
★サカキの葉には鋸歯が何も無くヒサカキの葉にはギザギザとした鋸歯がある
★サカキは神事で使われるがヒサカキは神事と仏事の両方で用いられる
サカキとヒサカキの樹木を見分けたい場合には、自生している地域と樹高に注目してみましょう。
葉の違いを参考にサカキとヒサカキを見分けるときには、葉の大きさと鋸歯の有無をチェックする方法がおすすめです。
サカキは神事に欠かせない植物に当てはまりますが、ヒサカキはサカキの代替や仏壇へのお供えに使える特徴を持っています。
モッコク科サカキ属の常緑小高木がサカキであって、モッコク科ヒサカキ属の常緑小高木がヒサカキになります。
サカキとヒサカキには、自生地や樹高のほか、葉の大きさや鋸歯の有無などはっきりとした違いがいくつも出ています。
こうした違いを見極められるのなら、神棚へのお供え時や仏壇へのお供え時にどちらを使うか悩む心配はありません。
神棚へのお供えを探している際にはサカキを選び、仏壇にお供えしたい場合にはヒサカキを役立てていきましょう。