美しい花や葉を備えた観賞向きのオカトラノオは、ヨーロッパや欧米を中心に人気が高まりつつあります。
オカトラノオの育て方でこれだけは知っておきたいことには、何が当てはまるのでしょうか?
オカトラノオとは
日本列島や中国などが原産で一般的に山野の草原に自生するオカトラノオは、サクラソウ科オカトラノオ属の多年草です。
茎を立てたオカトラノオの草丈は60センチから1メートルほどになり、地下茎が増えるのでそもそも群生しやすい性質を持っています。
夏には長さ15センチ前後にもなる円錐搭状の花穂が茎頂に付けられ、密集した1センチほどの花が基部から順に咲き誇ります。
花穂が途中で横向きに湾曲していることや、短い毛が茎や長楕円形の葉に付いていることもオカトラノオの主要な特徴といえるでしょう。
こうした花穂の形態は虎の尾に近い見た目なので、これが名前の由来になったというのが代表的な通説です。
また、秋になればオカトラノオの葉は紅葉しながら茎葉が枯れ始め、多年草らしく冬は根の状態で越す流れになります。
海外にはおよそ193種が分布しているものの、日本国内にはオカトラノオ属の植物は15種ほどしか自生していません。
オカトラノオに似た植物には、ノジトラノオやヌマトラノオのほか、サワトラノオが見られます。
白い花色が基本的に定着している一方で、オカトラノオには桃色花のほか、黄白散り斑といった斑入りの品種も存在しています。
多年草の特性について
多年草は多年生植物とも呼ばれ、同一個体として複数年続けて生存する植物がこれに該当します。
四季のある自然環境において、多年草は地下に種子や葉などを残す方法で冬を耐える特性を備えています。
常緑草という通年葉を付けたままの多年草もありますが、オカトラノオのように根が残って再び茎や葉を伸ばすものは宿根草に分類されます。
もちろん多年草が庭にしっかり根付いていると、冬にガーデニングを行わなくても庭から植物が無くなることはありません。
多年草はガーデニング初心者に適した品種も豊富ですから、手間をかけずに庭を整えたい人は多年草の栽培を検討してみましょう。
オカトラノオに期待できるメリット
わずかな風であっても揺れる群生したオカトラノオの花穂は印象的であって、美しい景観づくりをする上で大いに役立ちます。
国際シンポジウムで取り上げられたこともあるオカトラノオには、以下のようなメリットが揃っています。
★和風と洋風どちらの庭であっても観賞用として向いている
★初心者でも育てやすく簡単に増やしていける
★フラワーアレンジメントの作品づくりに適している
★乾燥させた葉や根を煎じてハーブティーを楽しめる
★非常時の救荒植物として扱われている
オカトラノオを自ら栽培すれば、観賞用に楽しむだけでなく、ハーブティーに使えるメリットなども得られるでしょう。
オカトラノオの育て方
オカトラノオは半日陰を好むため、植えつけ場所や鉢植えの置き場は適度な日当たりのところを選ばなくてはいけません。
水はけに優れた用土の活用が推奨されますが、庭植えなら肥料は必要なく、鉢植えであっても少量の肥料を施す程度で十分です。
庭植えにおいては日照りが続かない限り水やりはほぼ不要になりますが、鉢植えであれば用土の乾きにあわせて水をたっぷり与えてください。
植えつけや植え替えは2月から3月に行い、鉢植えの場合には1年に1回植え替えを実践しましょう。
花をつけているタイミングでは乾燥や暑さに弱くなる傾向が見られますので、直射日光の当たる場所を特に避けたほうが良いかもしれません。
オカトラノオは宿根草の性質を持つため、茎葉が枯れた後には地際で切り戻す手入れも求められます。
また、病気や害虫の心配はあまり無く、オカトラノオは放任していても育ちやすい植物です。
順調に育っていてもオカトラノオの茎が倒れやすい場合には、支柱を添えて防止する方法が適しています。
育てるときに知っておきたいポイント
オカトラノオを庭植えする際には、ほかの草木を駆逐する勢いで育つ可能性があり得るので要注意です。
地下茎を伸ばす形で繁殖していくため、花壇などに隣接して育てるのなら事前の根域制限を欠かしてはいけません。
庭植えを行うのであれば、3年から5年に1回ほど堀り上げ、オカトラノオを植え直すことが推奨されています。
加えて、繁殖力の高いオカトラノオは、根張りが進むと抜きにくくなってしまいます。
植え直しには相応の手間を要する場合もありますが、余分な部分を抜き捨てることを心がけましょう。
このようなオカトラノオの特徴を活かす手段として、傾斜のある場所に土留め代わりに植える方法があげられます。
サクラソウ科オカトラノオ属のオカトラノオは、群生しやすい性質や湾曲した花穂が特徴の多年草です。
半日陰に庭植えすれば、繁殖力の強い地下茎が広がって初心者でも簡単に増やせる植物になっています。
観賞用として楽しめることはもちろん、ハーブティーに役立てたり、救荒植物としても活躍を見込めます。 オカトラノオの地下茎はがっしりとした根張りが進みますから、適度に植え直すことで対応していきましょう。