葉と花から分かるニワウメとユスラウメの違いや見分け方を紹介

庭木の種類・知識

ニワウメとユスラウメはどちらもバラ科サクラ属の植物ですが、これらにはいくつか明確な違いが存在することをご存知でしょうか?

 

今回は、葉と花から分かるニワウメとユスラウメの違いや見分け方をご紹介します。

ニワウメとは

中国華北や華中のほか、華南が原産で山地に自生しているニワウメは、寒さに対する耐性が強いバラ科サクラ属の落葉低木です。

 

樹高は1.5メートルから1.8メートル程度と低く、ニワウメの花は雌雄同体の虫媒花になっています。

 

ニワウメは土質を選ばない育てやすさに優れた樹木に当てはまりますが、日当たりの良い場所に根付かないと花付きや実付きは良くなりません。

 

4月や5月頃の開花期には枝の大部分を覆うほど花が咲き、開花後には球形の果実ができて、6月から7月頃には赤色の果実へと熟していきます。

 

こうしたニワウメの花や果実は観賞に適していますので、庭木として植えられるだけでなく鉢植えでも日本各地で育てられています。

 

ニワウメの剪定は落葉期の1月から3月に行う必要があるものの、日当たりを樹形の内部に届けるために不要な枝を切り取るだけで構いません。

ニワウメの特徴

ニワウメは株立ち状の樹形を持った植物であって、株周りに伸びた地下茎から複数の枝が立ち上がっていきます。

 

地面から次々に出てくる枝をそのまま放置していると、ニワウメは藪に近い状態にまでなるかもしれません。

 

ニワウメの枝が増え過ぎた場合には、必要無い枝を付け根から切り落とすことで対処できます。

 

また、ニワウメは互生葉序している上に、葉は卵形もしくは卵状披針形で縁に細かい二重の鋸歯があります。

 

葉の大きさは短柄含めて4センチから7センチほどになり、葉の裏側には少しだけ毛が付いています。

 

さらにニワウメにおける淡紅白色や淡紅色の花は、花弁5枚と萼片5枚で構成されていますし、枝に2輪から3輪ずつ集まっているのも特徴です。

 

加えて、ニワウメの果実は1センチ程度と小さい球形の核果で、暗紅色に熟すと生食できることが大きな特徴といえるでしょう。

ユスラウメとは

中国北部や朝鮮半島が原産で江戸時代初期には既に日本でも栽培されていたユスラウメは、耐寒性が強いバラ科サクラ属の落葉低木です。

 

樹高は2メートルから3メートルほどまで育ち、栽培環境においては日当たりと水はけの良い場所を好んでいます。

 

3月から4月頃の開花期には枝いっぱいに白や淡紅色の花を咲かせ、開花後には小さな球形の果実ができます。

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ユスラウメの剪定は気になる枝の間引きや切り詰め程度で済むため、ほとんど行わなくても問題ありません。

 

病害虫に耐性を持つ強健な性質をユスラウメは備えますが、剪定し過ぎると負担が大きくなってしまうので注意してください。

ユスラウメの特徴

俗名のユスラゴでも知られるユスラウメは、直立性の植物ではなく分枝が起こりやすい開帳性の落葉低木に該当します。

 

ユスラウメはニワウメと同じく互生葉序していますし、葉は楕円形で先が尖り、葉の縁には細かい鋸歯が見られます。

 

葉の大きさは5センチから7センチ程度で、葉の表面には短毛としわがあり、裏面には縮れた毛が密生しています。

 

また、ユスラウメにおける白や淡紅色の花は花弁5枚で構成され、花のひとつひとつがニワウメよりも比較的はっきりとした形になっています。

 

1センチほどの核果は真っ赤に熟すと生食できますが、実はこうした果実はユスラウメの木を揺するだけでも地面に落ちかねません。

 

このような果実の落ちやすさから、ユスラウメという名称になったという説も知られています。

ニワウメやユスラウメにおける果実の食べ方

ニワウメやユスラウメの果実は熟すと生で食べられますが、そのまま食べるよりもジャムにする方法が一般的です。

 

収穫した果実にはどちらであっても種が入っていますから、ジャムを作る際にはザルや裏ごし器の活用が向いています。

 

もちろんニワウメやユスラウメの果実を食用に使うのであれば、事前にしっかり洗って汚れを落とすことを忘れてはいけません。

ニワウメとユスラウメの違いや見分け方

ニワウメとユスラウメを見分けたいときには、以下のような違いに注目してみましょう。

★ニワウメは株立ち状の樹形でユスラウメは開帳性の樹形になっている
★ニワウメの樹高は育っても1.8メートルに過ぎないがユスラウメは3メートルまで育つ
★ニワウメの葉は毛が少なくユスラウメの葉では表裏の両方に細毛が生えている
★ニワウメの花は花弁5枚と萼片5枚になるがユスラウメの花は花弁5枚で構成されている
★ニワウメの果実は熟すと暗紅色になるがユスラウメの果実は熟すと真っ赤になる

ニワウメとユスラウメを比較すると、樹形や葉のほか、花の構成や熟した果実の色に違いが出ています。

 

暗紅色の果実がなるバラ科サクラ属のニワウメは、株立ち状の樹形が特徴の落葉低木です。

 

ニワウメの樹高は1.8メートルほどにしかならず、4月や5月頃の開花期には淡紅白色や淡紅色の花を楽しめます。

 

対して、真っ赤な果実がなるユスラウメは、開帳性の樹形と葉に生えた細毛が特徴の落葉低木になります。

 

ユスラウメの樹高はおよそ3メートルにも育ちますし、3月から4月頃の開花期には白や淡紅色の花を観賞できます。

 

同じバラ科サクラ属でも樹形などは大きく違うため、これから栽培の検討を始めるのなら特徴を踏まえた上で判断しましょう。