魔法の杖で有名なニワトコの木って何?特徴や効能をまとめました

庭木の種類・知識

魔法の杖で有名なニワトコの木とは、そもそもどのような植物なのでしょうか?

 

ニワトコの特徴や期待される効能のほか、利用方法とニワトコに関する伝承についてまとめてみました。

ニワトコの木とは

日本各地や北東アジアが原産で山野に自生するニワトコは、レンプクソウ科ニワトコ属の落葉低木です。

 

魔除けを期待できるニワトコは庭木として植えられる場合も多く、ニワトコは日陰でも育つ上に暑さと寒さの両方に強い耐性を備えています。

 

樹高は2メートルから6メートルほどになり、ニワトコにおいては主幹を作らずに地際から分枝する独特な樹形に育ちます。

 

四方八方へ枝が広がる自然樹形を観賞したくても、成長スピードは速いので庭木として植えるのなら注意しなければいけません。

 

また、早春には枝先に円錐花序を出し、4月から5月にはかすかに匂う淡黄色の密集した花が開花します。

 

6月から8月には卵球形の赤い核果が房状に付くため、自然樹形を刈り込んでしっかり管理できれば、ニワトコは季節に応じて楽しめる庭木になるでしょう。

ニワトコの木の特徴

ニワトコは樹齢を重ねて成木や老木になると、樹皮が黒褐色でコルク質に変化していきます。

 

古い樹皮には深いひび割れも起こりますから、こうした特徴的な樹皮の見た目に注目すればニワトコを見分けるときに役立つかもしれません。

 

ニワトコの若い枝は緑色で、成長した枝は太い髄を持った褐灰色になり、葉の形そのものには奇数羽状複葉が当てはまります。

 

奇数羽状複葉の長さは8センチから30センチほどであって、花のつかない枝の場合には葉柄を含めて45センチ程度にまで大きくなります。

 

長楕円形と披針形があわさった小葉は、3センチから10センチほどで縁には細かな鋸歯が存在しています。

 

加えて、ニワトコの果実は3ミリから4ミリと小さく、果実には種子が3個含まれています。

 

ニワトコの果実は熟すと赤くなる一方で、セイヨウニワトコなら熟すと黒に変わるため、ニワトコを見極めるなら果実の色も欠かさずチェックしましょう。

ニワトコの木の効能

日本や世界各地にはニワトコを用いた伝統風習が見られ、ニワトコの木に期待される効能は少なくありません。

 

枝や葉のほか、根や蕾の適切な利用が前提になりますが、代表的なニワトコの効能として以下の内容があげられています。

★むくみの解消や利尿作用
★打ち身や打撲への効能
★リウマチや神経痛に対する効能

これらの薬効はよく知られているものの、一部の薬効を果たすためには煎じたものを服用する手順が必要になります。

 

胃が弱い場合や適量以上の服用を行うと嘔吐につながりかねないので、ニワトコの薬効を信じていても服用時には気をつけなくてはいけません。

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ニワトコの利用方法

ニワトコを使って効能を発揮したいときには、花や茎のほか、枝や根をそれぞれ陰干し乾燥させた生薬が不可欠になっています。

 

花を用いた生薬は接骨木花と呼ばれ、茎を使うと接骨木と称されますし、葉や枝を用いるなら接骨木葉という生薬に該当します。

 

さらにニワトコの根を使用した生薬は接骨木根になりますが、もちろん生薬の使い方によって期待できる効能に違いが出てきます。

 

接骨木花や接骨木あるいは接骨木根を水に煎じて服用すれば、むくみの解消や利尿作用を求める場合に役立つでしょう。

 

打ち身や打撲への効能を目的にしている際には、接骨木の粉末と黄柏粉末を混ぜ、水とあわせて患部に塗布する方法が適しています。

 

リウマチや神経痛への効能を目指すなら、接骨木花や接骨木葉を鍋で煮出し、これを風呂に入れた上で入浴してください。

 

なお、ニワトコを病気除けや厄除けに使いたい場合には、ニワトコの枝を切って鉢植えにしたり、玄関先で飾る方法が向いています。

ニワトコには様々な伝承がある

ニワトコの効能に注目が集まりやすい一方で、ニワトコに関係する伝承も豊富にあることをご存知でしょうか?

 

まず、ニワトコはユダが首を吊った木として知られるほか、キリストが磔にされた十字架にはセイヨウニワトコが使用されたとも言われています。

 

キクラゲ目キクラゲ科のキノコであるキクラゲは、種小名がユダの耳ですが、これはニワトコから生えるキノコといった意味合いが込められています。

 

もちろん実際にニワトコの木にはキクラゲが生えますし、このキクラゲは良質なことでも有名です。

 

とは言っても、ユダに関する伝承が知られるヨーロッパでは、キクラゲは食用のキノコとしてあまり好まれていません。

 

ニワトコで家を建築すると怪奇現象が起こるといった伝承や、ニワトコを切ると妖精のたたりにつながるという伝承なども見られます。

 

世界的なベストセラー小説でもニワトコの木は魔法の杖に使われているため、様々な伝承を通じてニワトコに興味を持つ人は多いかもしれません。

 

レンプクソウ科ニワトコ属のニワトコは、黒褐色の樹皮や奇数羽状複葉と赤い果実が特徴の落葉低木です。

 

ニワトコの花や茎などを陰干し乾燥させると生薬になり、このような生薬を上手く使いこなせるなら幅広い効能を期待できます。

 

むくみの解消や利尿作用を得たいときには生薬を煎じて服用し、打ち身や打撲の治療では生薬に手を加えたものを患部に塗布する方法が使えます。

 

これ以外にもニワトコの生薬にひと手間かければ風呂に入れて使用できるため、ニワトコは実用的な魅力を持った植物といえるでしょう。