ムクゲは凶木とされる事があり、特に家相風水においては災いを招く植物の1つとして利用を避けるべきとされる事があります。
また16~17世紀に記された初期の華道の古典書においても使用を忌避する事を推奨しているものがあります。
次々に咲き乱れるものの、花を個別に見た場合に開花の時間が短い事が儚い命を連想させる事から、縁起の悪いものを連想させる事がその主な理由とされています。
ムクゲは現代では好まれる傾向が強い
ですが実際のところは忌み嫌われるというよりは、寧ろ美しい花を咲かせる植物の1つとして好まれる傾向の方が現代では強いと言えます。
次々に花を咲かせる上に気温や土壌の環境変化にも強いその姿は、現代においては寧ろ生命力の象徴として捉えられる事が多く、韓国においてはムクゲが国の花として指定されているほどです。
日本においても、市町村単位でその地の代表的な花として指定しているところがあります。
ムクゲの花言葉も好意的・・・茶道においても欠かせない花
加えて花言葉も信念・尊敬といった好意的な言葉が当てられており、生け花等で飾った上での贈答用にも適さない訳ではありません。
華道においても時代が下ると生け花としての利用を推奨する流派が現れており、現代ではその扱いが二分されているような状況で、必ずしも忌み嫌われるものとはなっていません。
更に茶道においては、開花の短さが一期一会の精神と一致するものと考えられた事から比較的早くから寧ろ珍重され、開花時期が真夏に当たる事から夏の時期の茶花の1つとして欠かせない存在となっています。
またこうした流れから一般の園芸用にも多数の品種が開発されており、伝来自体は奈良時代に遡れるほどに早かった事もあり、種類によっては嘗ての武家や神社仏閣によって大事に育てられて来たという歴史も有しているのです。
ムクゲは概ね好意的・縁起が良い木
ムクゲは剪定を頻繁に行っても充分に立派な容姿となり、それ故に狭い場所でも比較的生育が良いという特徴を持っていて庭木にも適しており、生け垣として利用される事もあります。
こうした性質から、意図的に植えられたものについてはそれほどの高木にならないという特徴も持っています。家相風水においては南の方角に高木を植えるのは凶とされるものの、低木であれば展望が開けるといった吉運が齎されるとされます。
ムクゲはその意味では南の方角であれば家相風水にも適し、花が南国風の雰囲気を漂わせる事とも相まってその存在感を示してくれるものとなります。
このように古くは忌み嫌われた事があった分野においても、ムクゲは概ね好意的・縁起が良いものとして捉えられるようになっているのが実際です。実際に接する事があった場合、その華やかさを効果的に活かしたいところです。