モッコクはモチノキやモクセイとともに並ぶ「庭木の王様」です。
古くから庭木に用いられたモッコクの原産地は日本、朝鮮半島、台湾、中国から東南アジアを中心に分布しており、特に日本は関東より西でよく見かけます。高さは5mから12mに成長し、開花時期は6月から7月。
寒さに対して弱い一面はあるものの、潮風や大気汚染にも耐えられる丈夫な性質を持つ常緑高木です。
その丈夫さは防火性と耐火性という面で飛びぬけており、庭に植えると火の粉を遮って飛び火を防ぎ、建材に用いれば燃えにくい効果を発揮します。
モッコクは育ちやすく放っておいてもある程度成長する木
和名の由来は定かではありませんが、花の香りが洋ランのセッコクに似ていることから名付けられたという説があります。
花言葉は「人情家」。これはモッコクの名前の「持つ」と「濃く」という言葉に当てはめて良縁に恵まれるようにという願いが込められたためだといわれています。
そのため縁結びの木として扱われるようになり、神社の境内に植えられていることもあります。樹木としては育ちやすく、放っておいてもある程度成長はします。
モッコク風通しが悪くなると害虫ハマキムシに注意
しかし小枝を茂らせる性質があるので自然に任せておくと、見た目がべったりと重くなって全体の形が悪くなるのです。何より葉や枝が茂ることによって風通しが悪くなり、害虫が発生する原因になってしまいます。
害虫のなかでもモッコクが用心しなくてはいけない虫はハマキムシです。
ハマキムシとは自身が生み出した糸で葉をつづり合わせ、その内部に潜みながら葉を食害する害虫です。春から秋にかけて発生しやすいですが、特に梅雨から夏のあたりの被害が酷いといわれています。被害に遭った葉は枯れてしまうので、その葉ごと取り除くのが確実な駆除方法です。
ハマキムシ駆除の薬品と薬剤の散布
けれど一度発生すると完全な駆除は難しく、大量に発生している場合は葉ごと取り除く方法では間に合わないので薬剤の散布をおすすめします。
具体的な方法としてはまず既に被害が出ている場合、枯れた葉を棒や熊手を使って叩き落していきます。見える範囲で剥がれない葉があったら手袋をして剥がしていけば、スプレー缶やジェットノズルの薬剤でなくても散布の効果があります。
この時、農薬用のマスクやゴーグルを装着すればベストです。ハマキムシ駆除の薬品としては、オルトラン水和剤 ・ スミチオン乳剤・マラソン乳剤 ・ベニカS乳剤などがあります。
ただしハマキムシは手ごわい虫であり、新しい葉が出てきたらそれを狙って再び潜む可能性は十分ありえます。そうならないためには1週間から10日おきに薬剤の散布が最良の手段です。そうすれば被害は最小限になります。