クレマチスとテッセンはその見た目が似ていることから、どちらも同じものではないかと一般的に認識されている傾向があるようです。ただ実際にはクレマチスとテッセンは似ているけれども違いがあると言われており、その特徴もそれぞれ異なっています。
そこで今回は、間違いやすいクレマチスとテッセンの違いについて解説していきます。
クレマチスとは
クレマチスとはキンポウゲ科のつる性の植物で、北半球に温帯に多く分布しています。その種類は250から300種類ほどあり、日本にも20種類ほど分布していると言われています。
その特徴は大きな花を咲かせるところで、品種によって様々な花の形を楽しめます。特に八重咲きの品種は豪華な花の姿が美しいので庭全体を華やかに彩ってくれますし、四季咲きの品種は年間を通して繰り返し花が咲くのでそれぞれの季節で楽しめるようになっているのです。
ほかにも品種の多さや複雑さも特徴の一つと言われていて、初心者向けから上級者向けまで育てやすさが異なっている点や庭のテーマ性に合わせたものを選べるところが魅力とも言われています。
テッセンとは
テッセン(鉄線)は中国原産のキンポウゲ科のつる性の植物であり、茎が細長く質が堅いところから名づけられました。
同じ分類であるカザグルマと近縁で、室町時代には日本に中国から渡来した歴史を持っています。このため日本では、昔から親しまれている花として人気を集めているようです。
丈夫なツタは1mから3mほど伸びると言われていて、春になると6枚の花弁をつけた大きな花とギザギザとしたたくさんの切れ込みの入った葉をつけます。
花の種類は品種改良や品種の増加によって様々なバリエーションのものが楽しめるようになっていて、色々な種類のテッセンから好みのカラーリングのものを選べるところが魅力の一つです。
2つの違いについて
クレマチスとテッセンは同じキンポウゲ科のつる性の植物であり、元々テッセンはクレマチスの原種の一つだとされています。
そのため分類としては、クレマチスの中にテッセンが含まれていると言う形になるようです。このためクレマチスとテッセンにはそこまで大きな違いはないのではないかと思われがちですが、ポイントとなっているのが「品種として扱われているかどうか」だと言われています。
クレマチスはキンポウゲ科センニンソウ属に属している花の総称の一つとして認識されていて、クレマチス属という品種も存在しています。
それに対してテッセンはあくまでクレマチスの品種改良された結果の一つであり、学界では品種としては取り扱われていないようです。
つまりクレマチスという大きな品種の中にテッセンという花の種類があるだけなので、厳密にいえばこの2つは同じものではないと言うことになります。
見分け方のポイントは
テッセンはクレマチスの一種なのでなかなか見分けがつかないと言う人も少なくないのですが、クレマチスとテッセンを見分けるためのポイントは「花弁の色」と「雄しべの形」にあります。
まず花弁の色ですが、テッセンは白や紫を基本としています。品種改良によってピンクや赤の花弁のものも増えてきているのですが、一般的に流通しているものには白が多いようです。
それに対してクレマチスの場合は青や紫のものが多く、ほかにも種類によっては幅広いカラーバリエーションが挙げられています。
また雄しべの形ですが、テッセンの場合は花弁化しているので外側に複数の雄しべが広がっています。それに対して、花弁が6枚付いている状態となっているのが特徴です。
クレマチスはテッセンのように特徴的な形をしているわけではなく、一般的な花のように雄しべと雌しべがしっかり区別できます。このためクレマチスとテッセンを見分ける際には、花弁の色よりも雄しべの形で見分けた方がわかりやすいようです。