どこからか香るきんもくせいの甘い香りに、秋をかんじるという人は多いのではないでしょうか。
小さなオレンジ色の花も可愛くて、育てやすく庭木としても人気のきんもくせいですが、害虫が付くことも!
ご家庭のきんもくせいに虫がついているのを見つけたときや、きんもくせいに異常を発見したときの、害虫の種類ごとの対処法や害虫の予防策についてご紹介します。
きんもくせいにつく害虫・こんな症状に注意!
カイガラムシ
キンモクセイの葉が異様に濡れてたからなんでだろうと思ったら大量のイセリアカイガラムシがいた。
3枚目のハエ目昆虫みたいなのは雄なのかな?初めて見た!#昆虫 #昆虫写真#カイガラムシ #イセリアカイガラムシ pic.twitter.com/ieyA6Eyryl— まにぽん (@mp_insector) May 4, 2020
きんもくせいの枝や葉の裏に白い綿毛のようなものや、白や茶褐色の貝のような、小さな粒がついていたら、それはカイガラムシかもしれません。
カイガラムシはカメムシ目に含まれる昆虫で、葉や枝について木の汁を吸います。
見た目に不快なのはもちろん、カイガラムシが養分を含む樹液を吸い取ってしまうことで、生育不良や、枝ごと枯れてしまうこともあります。
また、葉にすすのような黒いカビが発生する「すす病」は、カイガラムシの排泄物にカビが繁殖することが一因です。
対策
成虫になると、固い殻で木に付着して身を守るため、薬剤での駆除が難しくなります。
そのため、卵が孵化する5~7月ごろ、2週間に1度の間隔で薬剤散布(カイガラムシエアゾールやベニカJスプレー)する方法が最も効果的です。
小さな子供やペットに配慮して薬剤の使用を避けたい場合には、ブラシで葉や枝をこすりながら流水で流し落とす方法もあります。
成虫になってから駆除する場合は、カイガラムシが繁殖した枝を切り落とすか、ヘラや固いブラシでこそげ取ります。
ハダニ
私のキンモクセイ満開だよ〜😊香りが本当に良き… ハダニにやられても頑張ってお世話した甲斐があったな pic.twitter.com/StARq7qNPS
— あさぎ (@asagi725) October 3, 2020
葉の裏に白い糸がついている、葉に白くかすれた部分が見られる、新葉が縮れたようになる、新葉が落ちるなどの症状がある場合はハダニが原因です。
ハダニ自体は0.5mmほどととても小さく、見つけにくい虫ですが、葉の裏で繁殖し、汁を吸収することで、葉の葉緑素が抜けて光合成できなくなったり、生育障害の原因にもなります。
対策
ハダニは小さく水に弱いので、水を吹き付けたり流水で流して駆除します。
数が少なければ、葉の裏をふき取ったり、粘着テープではがしとることもできますが、大量繁殖している場合は、薬剤散布(ダニ太郎、ベニカXファインスプレーなど)がおすすめです。
薬剤を使うときは、ハダニやクモの仲間に効果がある薬剤を選びましょう。
ハダニの吸汁被害で枝全体が弱っている場合などは、枝ごと切り落とすこともあります。
マエアカスカシノメイガ
マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis (Bremer, 1864)
May.13th, 2021 千葉県松戸市
左(表)、右(裏)で同一個体先程雨の中、自宅に飛来。松戸では通年見られる普通種。松戸で真冬に見られる蛾はフユシャク以外だと、フクラスズメと本種くらい。幼虫はキンモクセイなどを食べるようだ。 pic.twitter.com/YSa4JU5ca4
— ぴろ (@hirohx) May 13, 2021
きんもくせいの仲間を好む虫として、代表的なものはマエアカスカシノメイガです。
5~9月に黄緑色の15mm前後の幼虫がみられます。
幼虫はきんもくせいの葉を食害しますが、大量発生することは少ないと言われています。
成虫は白く透け感のある羽を持ち、羽の上部の縁が赤褐色くなっています。
対策
大量発生することは少ないので、幼虫や産卵に来た成虫を見つけたら捕殺か殺虫剤(アースジェットなど)を撒きます。
黄みを帯びた白い綿毛に包まれた卵を見つけたときは、孵化する前に葉ごと取るか、ブラシなどで取り去っておきましょう。
ヘリグロテントウノミハムシ
毎年マンションのヒイラギモクセイに発生するヘリグロテントウノミハムシを探していると、少し離れたキンモクセイの若葉に群れていた。ヒイラギモクセイはまだ若葉が出ていないので代用しているのだろうか pic.twitter.com/OmxqxgCk9O
— 日本野虫の会 重版御礼 手すりの虫観察ガイド (@panchichi3) March 16, 2020
テントウムシにそっくりな、黒い背中に赤い点が2つついた虫を見つけたら注意が必要です。ヘリグロテントウノミハムシという、モクセイ科の樹木につきやすい害虫です。
5~7月に乳白色の2~5mmほどの幼虫が葉に潜り込んで食害します。
葉に白くすじ状や斑点状の虫食いや、葉が爛れたようになることがあります。
成虫はテントウムシによく似ていますが、テントウムシはアブラムシの天敵となる益虫ですが、ヘリグロテントウノミハムシは、成虫も葉を食害するので駆除した方がいいでしょう。
対策
幼虫はスプレー型(ベニカXファインスプレーなど)の殺虫剤が効きますが、成虫はジャンプ力が高く小さな刺激で逃げてしまうので、土に混ぜる浸透性の殺虫剤(オルトランなど)がおすすめです。
成虫は落ち葉の中で越冬するので、落ち葉を掃除して近づかないようにしておきましょう。
イラガ
いばらちゃんならぬ、イガラちゃん
※拾い物 pic.twitter.com/uxnSc9LeOR— ぱぷりこ《やる夫》 (@papurico11200) June 29, 2021
葉に白く透けたような虫食の跡があるときは、イラガの幼虫がついていることがあります。
イラガの幼虫は、体長15~20mmほどで、黄緑に褐色の模様、たくさんの棘が付いた突起がついています。
棘には毒があり、触れると激しい痛みやかゆみ、皮膚炎を起こすため、注意が必要です。
対策
触れると危険なので、イラガのついた木に触れるときは、ゴム手袋をつけましょう。
イラガの幼虫は、スプレー型(ベニカJスプレーなど)殺虫剤が効果的です。
冬場には、枝に卵型の繭をつけるので、発見したときは枝ごと切っておきます。
アザミウマ
きんもくせいの花や葉に、アブラムシよりも細長い、体長1~2mmの黄色から褐色の虫がいたら、それはアザミウマ(別名 スリップス)です。
花が茶色く変色する、つぼみのままで開花しない、葉に茶色い斑点がたくさんできているときは、アザミウマの吸汁害の影響かもしれません。
高温多湿を好み、夏の間に大量繁殖することがあります。
果樹や野菜に被害を及ぼすウイルスを媒介することがあるので、他の庭木や家庭菜園に被害が出る前に駆除しましょう。
対策
開花後の花がらに発生することが多いので、こまめに花がらを取りましょう。
土壌に混ぜ込んだり、水に混ぜて使う、浸透性の殺虫剤(オルトランなど)で長期間かけて駆除します。
きんもくせいの害虫予防方法
他の植物と同じく、風通しを良くしておくことが第一です。
きんもくせいの剪定は、花後~翌年の4月ごろが適していますが、剪定が原因で株全体が弱ることがあるので、枝を梳いて樹形を整える程度に留めておきましょう。
秋から冬の期間は、越冬する成虫を寄せ付けないように落ち葉掃除が欠かせません。
新芽の時期が一番害虫の食害が多いので、春前に浸透性の殺虫剤(オルトランなど)を施しておくと、害虫の繁殖を大幅に抑えることができます。
日本の気候に適していて、育てやすいきんもくせいですが、更に花や香りをたのしめるように、こまめな害虫対策をしてみましょう!