カタバミの仲間─特徴と見分け方について

多年草

「カタバミ」は、よく道端や空き地で見かける草花ですが、実はカタバミ属には複数の種類が存在します。

本記事では、そんなカタバミ属の仲間の種類ごとの特徴や、類似した植物との見分け方、そしてカタバミ属の持つ毒性について解説していきます。

自然を散策する際、「カタバミ」を見る機会があるかもしれません。カタバミの特徴を学び、より深く観察を楽しんでみましょう。

カタバミの仲間を知る 生態、形態、の特徴

カタバミ(酢漿草、片喰、傍食、学名: Oxalis corniculata)は、カタバミ科のカタバミ属に属する多年草です。

この植物には、「かがみぐさ」「すいば」「しょっぱぐさ」「すずめぐさ」「ねこあし」「もんかたばみ」など、『日本方言大辞典』には180種以上の日本の地方名があります。

中国では、「三葉酸草」「老鴨嘴」「酸味草」「満天星」などのさまざまな別名があります。

その形態・生態については、地下に球根を持ち、球根の下に大根のような深い根が生えている。そして、匍匐茎をよく伸ばし、地表に広がることができるため、繁殖が迅速で、根が深く雑草駆除が困難な一種である。

また、葉は球根の先端から束になって出る。ハート型で尖った三つの葉が寄り添っており、三出複葉となっている。しかしながら、小葉における頂部と側面の違いは分かりにくい。

黄色い花は春から秋にかけて咲き、花びらは5枚である。日差しを浴びるとよく花を咲かせるが、日陰で育てると花びらがしおんでしまうという特性を持つ。

果実は円柱状で先が尖り、真っ直ぐに上を向いて出来る。熟した果実に触れることで、動物などが弾力のある赤い種子を周囲1メートル10センチまで飛ばすことができる。そのため、この種は繁殖において有利な特性を持っています。

カタバミ属の仲間の特徴

カタバミ属(学名: Oxalis)は、カタバミ科に属する植物の群れです。花が美しく、多くは園芸用に育てられています。カナ読みでオキザリスと呼ばれることが一般的です。

この属は、小柄な一年草または多年草であり、地下に鱗茎や根茎を持っているものが多いです。葉は三出複葉、四出、あるいは奇数羽状複葉であるものもありますが、日本産のものはすべて三出複葉で、しかも頂小葉と側小葉の区別がほとんどつかないようになっています。この葉は夜間に閉じます。

カタバミ属の花は、葉腋から1つ出るか、柄の先にある集散花序から出ることがあります。花弁は5つで、雄蘂は10。雌蘂は五室で、果実になると五つの部屋の背面が裂けてそこから種子が飛び散ります。これを蒴果といいます。

カタバミ属は主に850種が熱帯地域を中心に存在します。また、カタバミ科は日本においては、カタバミ属のみ分布しています。日本国内の種には、帰化種が多い傾向にあります。

下記にカタバミの仲間たちをご紹介します。

カタバミ

カタバミは日本の空き地や農地などに多く生えており、日本には6種類の種類が自生しています。また、多年草であり、育て方も簡単であるため、ガーデニングにも人気があります。

しかし、近年は帰化種であるオッタチカタバミが混ざっている場合もあるため、注意が必要です。地方名も様々で、『日本方言大辞典』には180種以上が記載されているほか、中国でも様々な名前で親しまれています。

カタバミは見た目が可愛らしく、たやすく手に入るため、観葉植物としても人気があります。

コミヤマカタバミ

コミヤマカタバミはヨーロッパとアジアの一部に自生し、春にピンクがかった白い小さな花を咲かせます。

また、かじると酸味がすることから、Oxalis acetosellaという学名がつけられました。

この植物はかつて、シュウ酸カルシウムを抽出するために使用されていましたが、わずかに毒性があるため注意が必要です。

また、北アメリカにあるOxalis montanaという別種についても言及しました。コミヤマカタバミはシャムロックの一つであり、聖パトリックの祝日のプレゼントとして贈られることがあります。

イモカタバミ

イモカタバミは花の色が濃いピンクが基本で、花筒部の奥も同じ色ですが、紫色の筋が入るのが特徴の一つです。

また、カタバミ科の多年生植物で初心者でも育てやすいとのこと。日当たりがよい場所で栽培することがおすすめですが、半日陰でも問題ありません。

耐乾燥性があり、やや乾燥気味に育てることをおすすめしました。イモカタバミは道ばたでよく見られる雑草というイメージがあるかもしれませんが、庭でも育てやすく増えやすい花です。

イモカタバミは、南アメリカやアジアを原産とする植物で、観賞用に日本に帰化しています。身近な雑草としても知られており、初心者でも簡単に育てることができます。

日当たりがよく、やや乾燥気味の環境が好みです。花の色はピンクが基本で、花筒部の奥に紫色の筋が入り、黄色い花粉が特徴的です。イ

モカタバミは庭にはあまり歓迎されない存在ですが、種類によっては鱗茎を地下部に引き戻すために牽引根という特殊な根を持つものもあります。

ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミは南アメリカ原産ですが、江戸時代末期に日本に導入され、その後広く帰化しています。ムラサキカタバミは、背丈が約30cmで、地下に鱗茎があります。

また、葉は三出複葉で小葉はハート形で、裏面に黄色い腺点があります。花は春から初夏にかけて咲き、淡い紫色やピンク色をしています。

さらに、夜になると花びらを閉じるという特徴があります。雑草としても知られていますが、観賞用としても人気があるため、「オキザリス」として広く流通しています。

オッタチカタバミ

オッタチカタバミは、北アメリカ原産で、日本には第二次世界大戦後にアメリカ軍の荷物に紛れて侵入したと考えられています。

見た目はカタバミに似ていますが、全体に白い毛が多く、托葉がごく小さく目立たないことで識別できます。

また、地上茎はすべて地中を横走する根茎から生じて高さ10〜50cmに達し、花はカタバミとほぼ同じ黄色の5弁花で、花後に果柄が下向きます。

オッタチカタバミは、タチカタバミと混同されることもあるので、注意が必要です。

ミヤマカタバミ

ミヤマカタバミは、山地の林の下に生える多年草であり、根茎を持ち、柄の長い3つの小葉をもつ葉を根生します。

花期は3-4月で、白い花弁に紫色の筋があるものもあります。雌しべの柱頭は5裂するため、花の後には長さ約2cmの蒴果を作り、種子が熟すと蒴果からはじき出されます。

ミヤマカタバミは、野生植物として日本各地で見ることができ、自然の中で見ることができる美しい植物です。

オオキバナカタバミ

オオキバナカタバミは南アフリカ原産で、現在は世界各地で帰化植物として見られます。葉に紫褐色の斑点が多数見られるため、他のカタバミと区別がつきます。

春先に鮮やかな黄色い花を咲かせ、葉が落ちる冬まで姿を見せます。オオキバナカタバミは美しい外観と広がりの速さから、庭や公園などで人気があります。

ただし、農作物に対しても強い競争力を持つため、注意が必要です。

フヨウカタバミ

フヨウカタバミは、カタバミ属の中でも大きく鑑賞価値の高い花を咲かせることが特徴です。また、園芸品種も多く、様々な花色が楽しめます。栽培には注意が必要で、強い霜が降りる地域では外での越冬が難しい場合もあります。

フヨウカタバミは地面下に根茎と球根を持ち、葉は根生葉で構成されたロゼット状の草姿を作ります。

園芸では、鉢植えや花壇のグランドカバーや縁どりに利用されます。フヨウカタバミの魅力的な花を楽しむためには、育て方に注意して、適切に管理しましょう。

モンカタバミ

モンカタバミは、メキシコ原産のカタバミ科の植物であり、発色の美しいピンクの花が特徴的です。また、カタバミ属の中では珍しい4小葉からなる複葉を生じるため、その名も「紋片喰」と呼ばれる場合があります。

観賞用に栽培されることが多く、容易に栽培できるため、初心者にもおすすめです。注意が必要なのは、シュウ酸を含むため大量に食べると中毒の恐れがあることです。

冬季の寒冷地では、霜よけをするか室内に取り込む必要がありますが、それ以外の時期は日当たりと水はけのよい土壌で手入れをすれば、よく増えます。

モンカタバミは美しい花や葉を楽しめるだけでなく、その特徴的な複葉も目を惹きます。ぜひ、お庭や室内で楽しんでみてはいかがでしょうか。

オカ

 

オカ芋はカタバミ科カタバミ属の多年草で、南アメリカ大陸原産の食用植物です。

地下茎が肥大化して塊茎となり、白・黄・赤・紫などの様々な色があります。

オカ芋はジャガイモに次ぐ重要な芋類としてアンデス山脈で栽培されており、その特徴は耐寒性に優れていることです。

また、花を咲かせる野生種も存在しますが、品種改良を経た栽培品種の多くは花をつけません。

オカ芋はジャガイモと同様に食用として栽培されています。肥大化した地下茎は塊茎となり、様々な色がある特徴的な見た目をしています。

その耐寒性に優れた特徴を活かして、日本でも北海道や長野県などで生産されています。

オカ芋はジャガイモとは異なる個性的な特徴を持つ食材であり、料理のバリエーションに加えて、新たな食の可能性を広げる存在となっています。

シボリカタバミ

シボリカタバミは、南アフリカ原産の球根性の多年草で、黒い球形の鱗茎を持ちます。

花の色は白色と赤色の2色で、閉じた状態では紅白の縞模様が浮かび上がります。花のサイズは2cm程度で、花弁は5枚あり、根本には花冠筒があり内側は黄色くなります。

シボリカタバミは、日照に合わせて花が開閉し、晴天では大きく開き、曇天では閉じます。草姿は美しいドーム状になり、茎は緑色、高さは約10〜15cmです。

園芸植物として広く栽培され、その美しい花はキャンディケインや理容所の看板などに喩えられるほど魅力的です。

オオヤマカタバミ

オオヤマカタバミ Oxalis obtriangulata カタバミ科 Oxalidaceae カタバミ属 三河の植物観察
オオヤマカタバミ Oxalis obtriangulata

オオヤマカタバミは、カタバミの種類の中でも、とても珍しいものです。

本州中部、四国、九州に自生地があるものの、分布が点在しているため、なかなか見かけることができません。

ミヤマカタバミと似ているようですが、最大の特徴は、開花してもうつむかせたまま上を向かないことです。

一方、ミヤマカタバミは、水平から斜め上を向いています。また、葉は開花時期でも展開しにくい傾向にあり、小葉はとがって角ばって見えます。

主に杉林などの薄暗い環境で見かけることが多いです。この植物は大陸にも分布しており、やや遺伝的な分布をしている植物とされています。

アマミカタバ

四季の山野草(アマミカタバミ)

アマミカタバミというのは、カタバミ科に属する小型の多年草です。

奄美大島のみに生息している固有種で、ほかのカタバミの仲間とは異なり、渓流沿いの苔上などに生えています。

草丈は約3㎝程度で、茎には赤味があり、周囲には白色の柔らかい細かい毛が密生しています。また、地面を這って伸びるように生えます。

葉も倒心形で、茎と同様に白色の柔らかい細かい毛が密生しています。花は4月から10月ごろにかけて、花茎の先に直径5㎜程度の黄色い花を咲かせます。

オキザリスとカタバミの違いって何?

オキザリスとカタバミは両方ともカタバミ科に属する植物であり、似たような見た目をしていることがあります。しかし、それぞれの特徴を見ることで見分けることができます。

一番大きな違いは、栽培された場所や販売形態が異なることです。オキザリスは、主に園芸用に栽培されており、球根で販売されています。一方のハナカタバミは野生種であり、園芸用ではありません。ただし、場所や条件が合えば自然界でも見かけることができます。

また、見た目の違いもあります。ハナカタバミの花は黄色い小花咲かせます。一方のオキザリスの花は、ピンクや白、黄、オレンジ、紫などしていて美しく咲き誇ります。

以上のように、オキザリスとカタバミにはそれぞれ特徴があり、見分けることができます。しかし、初心者の方にとっては難しいかもしれません。そんな場合は、植物園やホームセンターで育て方や見分け方を教えてもらうことをお勧めします。

カタバミ 毒性 について

結論から言うと、カタバミには命に影響を与えるほどの毒性はありません。そのため、安心して食べることができます。

しかし、カタバミに含まれるシュウ酸という成分には注意が必要です。シュウ酸は一度に多く摂取すると、尿路結石や腎臓障害の原因になってしまう可能性があります。そのため、カタバミを大量に食べることは避けた方が良いでしょう。

ちなみに、カタバミの花1つとレタス1枚分程度のシュウ酸が含まれているとされています。つまり、適量で摂取すれば問題ありません。また、シュウ酸は加熱することで分解されるので、調理してから食べることもオススメです。

ただし、カタバミを摂取する際には注意点もあります。野生植物であるため、農薬や汚染物質を含む可能性があるため注意が必要です。また、花粉症の方はアレルギー反応を起こす可能性があるので、食べる際には十分な情報収集が必要です。

以上のように、カタバミは基本的に毒性はありませんが、適量を守ることや注意点について理解を深めてから摂取することが大切です。自然からの贈り物である野菜や植物を安心して楽しめるよう、正しい知識を身に付けましょう。

まとめ

カタバミは、道端や空き地などに生えていることが多い雑草です。この属の特徴や類似植物との見分け方を知っておくと、自然観察でより身近に観察することができます。

さらに、カタバミ属の潜在的な毒性を知っておくことは、この植物に接する可能性のある人にとっても重要です。