背中に斑やすじのある、細長い昆虫をみたことがありますか?
虫好きな方ならご存知の「カミキリムシ」ですが、園芸界では厄介者として有名なんです!
カミキリムシにやられた木は、枯れてしまったり、倒れて人的被害につながることも…。
そこで今回は、カミキリムシにやられた木の見つけ方、駆除や予防の方法までまとめてご説明します。
カミキリムシに、大切な木がやられてしまう前にぜひご一読ください!
カミキリムシってどんな虫?
カミキリムシはコウチュウ目カミキリムシ科の甲虫です。
テッポウムシとも呼ばれ、日本には、体長1cm満たない小型種から7cmほどにもなる大型のものまで、800種近く生息すると言われています。
細長い胴体と長い触角が特徴的で、とても強力な顎を持っています。
人の髪の毛まで切れる程の強力な顎が由来となり「髪切虫」という名前が付きました。
草食性で、成虫は木の皮や樹液、植物の葉や茎、花を食べて、植物の幹や茎に傷をつけて産卵し、幼虫は木の内部に潜り込み、木の内部組織を食べます。
カミキリムシの食害に遭った木は、樹勢が衰え、ひどい場合幹から枯れることもあり、見た目に変化がなくても、折れやすくなり、台風などの強風での倒木の原因ともなります。
カミキリムシにやられた木の見つけ方
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まず注意してほしいのは、木の根元に落ちているおがくずのようなものです。
カミキリムシの糞はおがくず状で、木の根元に落ちていても、一見して虫の糞と気づきにくい形状をしています。
木の根元におがくずのようなものが落ちていたら、カミキリムシの幼虫が住み着いている可能性が高いと見て間違いないでしょう。
おがくず状の糞を見つけたら、木の根元から高さ50cm程度の樹皮に、丸い傷や穴が開いていないか目視で確認します。
丸い傷はカミキリムシの産卵痕で、小さな穴は幼虫が木の中に潜った穴です。
木によっては、カミキリムシが作った穴から樹液やヤニが出ていることがあるので、見つける手掛かりにしてみて下さい。
幼虫が開けた穴は、小さいものだと2mm程度なので、目視での捜索は大変ですが、カミキリムシの幼虫は、1年から2年かけて、木の内部を食い荒らします。
産卵期である6月から10月の時期は特に、卵から孵った幼虫が、木の内部に入り込むために作った穴を早めに発見し、早めの駆除につなげたいものです。
カミキリムシにやられた木をどうしたらいい?
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カミキリムシの成虫がついていたら、食害と産卵を防ぐため捕殺しましょう。
成虫には一般的なスプレー型殺虫剤(「ハイパーお庭の虫コロリ速攻撃滅ジェット」など)が有効です。
幼虫の穴を見つけたとき、一番確実に駆除できるのは、穴の径よりも細い針金を穴の中に差し込んで幼虫を捕殺する方法です。
針金で幼虫を捕殺できない時は、細いノズルの付いたスプレー型殺虫剤(「キンチョールカミキリムシ幼虫退治」など)が適しています。
ノズルを木の穴に差し込んで噴霧すると、木の中にいる幼虫に薬効があります。
幼虫が小さいうちであれば、浸透性殺虫剤(「オルトランDX」など)も効果が期待できるので株元に散布しておきましょう。
幼虫駆除後の穴は、小さければそのままでも構いませんが、カミキリムシや他の害虫が住み着くこともあります。
園芸用パテ(「トップジンMペースト」など)や接ぎ木用テープ、なければ木工用ボンドやビニールテープ等で塞いでおくことをおすすめします。
カミキリムシの予防
カミキリムシは一度に200個もの卵を産むとも言われるので、まずは産卵を防ぐことが大きなポイントになります。
カミキリムシは樹勢の衰えた木や老木を選んで産卵することが多いため、古い枝や混み過ぎた枝を払って、木自体を風通し良く健康に保つことが第一です。
剪定した枝や枯れた草木を放置しておくと、そこにカミキリムシが集まることもあるので、木の根元も整理しておきましょう。
次に、成虫の産卵期である初夏に、株元に忌避剤として木酢液や希釈した食酢、草木灰を散布すると、成虫の忌避効果だけでなく、木の肥料としての効果も期待できます。
樹皮に塗布する殺虫剤(「ガットサイドS」など)や浸透性殺虫剤(「トラサイド」など)は産卵の予防や、孵化した幼虫に強力な効果があるので、過去にカミキリムシの被害に遭った木やその周囲には特におすすめです。
殺虫剤を使えない場所では、先述した木酢液や草木灰を使ったり、株元にネットを張っておく、ペットボトルに縦に切れ目を入れて、幹の根元を覆うようにかぶせるといった方法を試してみて下さい。
樹木に直接塗布するコーティング剤(「テッポウムシ予防樹脂フィルム」など)で、薬剤を使わない安全性の高いものも販売されています。
クビアカツヤカミキリに注意!
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近年、クビアカツヤカミキリという特定外来種のカミキリムシへの注意が呼びかけられています。
「我が国の生態系に被害を及ぼす恐れのある外来種リスト」に含まれているカミキリムシで、サクラやモモなどの果樹に寄生し、木の枯死などの深刻な被害が広がっています。
体長は2~4cm(触角含まず)ほどで、全体的にツヤのある黒色をしていて、胸部だけ赤いカミキリムシです。
他のカミキリムシよりも産卵数が多く、繁殖力が強いため、街路樹や果樹園などに大きな被害が出ています。
自治体によって、速やかな駆除、及び担当課への連絡を呼びかけている所もあるので、クビアカツヤカミキリと疑われるカミキリムシを見つけたときは、お住まいの自治体に確認してみて下さい。