柿はビタミンAの効力を高めるカロチンを豊富に含み、さらにビタミンCも多く含んでいます。秋になるとおいしい柿を実らせるため、これを収穫するのを楽しみにしているかたも多いのではないでしょうか。
しかしながら、中にはまだ他の木々が緑色の葉を茂らせている9月頃に落葉が始まってしまい、大きな実をつけてくれない柿の木もあります。これは性質なのではなく柿木が落葉病と呼ばれる病気にかかっている可能性があります。
病原菌が柿木に感染することで発症し、一度かかってしまうと多くの実が落ちてしまいます。すべてが落ちてしまうわけではありませんが、たとえ残ったとしても大きくはならず甘みも少ない柿になります。
柿の木の落葉病は2種類ある・・
その症状はわかりやすく、葉に緑色に縁取られた黒色の病斑を生じます。
丸星落葉病と角斑落葉病の2種類があり、微妙に発生時期がずれています。前者は9月上旬ごろ、後者は7月中旬ごろに発生します。どちらも病斑ができるのは同じですが、角斑落葉病のほうが激しく落葉します。
細菌感染が原因なので、殺菌剤を散布することで予防が可能です。
落葉病に効果のある薬剤
落葉病に効果のある薬剤としては、トップジンM水和剤、ベンレート、ダイセンなどが挙げられます。
5〜8月に定期的な薬剤散布をすることで防除できます。症状が現れてからではその年の収穫には間に合わないため、予防のために散布する必要があります。
もちろんすでにかかってしまった柿の木でも、殺菌剤を散布してあげれば治ります。ここで注意が必要なのが、罹患した木の落ち葉には病原菌が含まれているため、そのまま放置してしまうと蔓延するおそれがあるということです。
病気が蔓延するまえに適切な対処法を
したがって、蔓延する前に畑から運び出し焼却処分するのが有効です。秋〜冬に畑の落葉処理を行って周りに伝染することを防ぎます。また、柿の古い樹皮には病原菌や害虫が住んでいます。これもまた菌が増殖する環境になってしまうので冬期には削り落としておくのが重要です。
葉も実も落としてしまう落葉病は非常に恐ろしい病気ですが、実はこの病気にかかっても柿の木は枯れません。柿の木は寿命が長く丈夫なため、それで木の本体が死んでしまうということはないのです。
もちろん落葉によって光合成量が落ちれば次第に木は弱っていきます。弱った木にさらに病気が広がるという悪循環を起こさないためにも定期的なメンテナンスと木の健康チェックが欠かせません。
おいしい実を収穫するためにも、予防の薬剤散布と適切な肥料と剪定が大切なのです。