寒肥とは12月から2月に植物に与える肥料のことで、これを与えることで1年の成長の決め手となる大事なものです。
というのも、冬は植物があまり成長しない時期ですが、肥料は吸収されやすく、寒肥を与えることで春先の成長期に効果が出てくるからです。植物の中でも特に樹木にとっては大切で、果樹は実のつき方にも影響が出てきます。
与える肥料の種類
与える肥料には石油や鉱物からなる化学肥料、天然成分の有機肥料、石灰が主ですが、寒肥は有機肥料が適しています。
有機肥料
有機肥料は土の中でゆっくり、特に寒い時期は時間をかけて分解され、根から吸収されていきます。そのため、寒肥を行う時期の12~1月頃に有機肥料を施肥しておくと、ゆっくり分解されていき、樹木の根が活動し始めるタイミングの3月頃に効率良く吸収されるというわけです。
また、有機肥料は土壌を改良する効果があるので、植え替えをしない樹木には向いている肥料です。
化学肥料
肥料を与える際、これで終わりではなく化学肥料も適宜与える必要があります。有機肥料に比べて効き目が早い化学肥料は、2月以降に施肥しておくと、樹木が吸収しやすくなります。
有機肥料・化学肥料のメリットとデメリット
どちらにもメリット、デメリットがあり、有機肥料は油かすや魚かす、動物の糞が原料となるので分解の過程で特有の臭いを発しますが、樹木にとって必要な栄養分が多く含まれています。
化学肥料も与えすぎると濃度障害を起こしてしまうので量には注意が必要ですが、形状は様々で用途や使いやすさで選ぶことができるので便利です。
寒肥は撒き方
寒肥は撒き方にもポイントがあり、樹木の根の先辺りに施肥すると吸収率が上がります。植物は地面を境に地上と地下で同じように伸びていくので、枝の先端からまっすぐ下に下ろしたところが根の先端になります。
この辺りに10~30cmほどの溝や穴を堀り、寒肥を施すと良いでしょう。その際スコップで根を切るように掘っていきます。既存の太い根は栄養や水分を吸収する力が弱いので、根を切って新根を出させることで、栄養や水分を吸収させやすくします。新根の方が吸収能力が高いので樹木の成長には大切です。
高木、低木でも効果的な施肥が異なり、高木の場合は深さ10cmほど、幅20cmほどで枝下の地面を堀り肥料を与えます。難しい場合は深さ30cmほどの穴を50cm間隔で堀り化学肥料を与えます。
あまり深いところに有機肥料を与えると、分解の際に出るガスで根を傷めてしまう危険性があります。低木の場合は根元の土に肥料を押し込むか、ばら撒くだけで大丈夫です。
寒肥をすることで果樹は実り多く成長するので、面倒臭がらずに行うようにしましょう。