イヌマキにラカンマキ、名前ではピンとこなくても、知らず知らずのうちに生け垣になっているものを目にしているかも知れません。これらはマキ科マキ属の木の名前です。
上記の木に似たものにコウヤマキやチョウセンマキという木もありますが、これはスギやイヌガヤの仲間なので別の種類の木になります。
さて、この2つの木ですが、利用する用途は殆ど同じです。どちらも庭木や生垣によく用いられる種類のものです。では以下よりこの2つの木の違いを、その見た目と特性から解説していこうと思います。
イヌマキの特徴について
まずはイヌマキです。
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この木はラカンマキと比べて葉っぱの幅が広く、長さもこちらが長いです。そのため葉っぱが弓形に曲がり、中程から下に垂れ下がっています。
また葉と葉の間隔が広い、つまり葉があまり密集しておらず隙間が大きいのが特徴です。そのため庭木としては見た目に劣る、生垣としても隙間が大きい・綺麗に剪定し辛いという理由で、ラカンマキより劣っていると見られがちです。実は名前の「イヌ」というのも蔑称なのです…。
そんな少し可哀想な待遇のイヌマキですが、実際に庭木として劣っている訳ではありません。風の強く吹くような地域では寧ろこちらの方が優秀です。
葉の密集度が低い為、風を良く通し強風に強いという長所があり、突風にも倒れにくいですし、生垣にしても強風を和らげつつ適度な風を通してくれます。落とす葉っぱも少ないので掃除も楽ですし、風で木が折れて飛んで行ったりし難いので、ご近所に迷惑を掛ける事も少ない優秀な木なのです。
ラカンマキの特徴について
対してラカンマキは葉っぱが真っすぐ上を向き、葉幅が狭く長さが短く密集して付いているのが特徴です。この木の良さはやはり、見た目と剪定時の整えやすさです。
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イヌマキのだらんと垂れた葉っぱも風情があって良いと思うのですが、多くの人がこの木のピシッと伸びて密な枝葉を好みます。
葉が密集しているため綺麗に形を整える事が出来、生け垣にしても見た目はもちろんプライバシーもしっかり守れます。葉っぱもさることながら、雄花序の房が出た頃の美しい緑と黄色の色合いが鮮やかです。
しかしイヌマキの所でも触れた通り、強風にはやや弱いです。風をモロに受けるため、あまりにも強い風が吹くような所で密集させて植えると、木が折れたり根の張り具合によっては根っこごと引き抜かれてしまう場合もあります。
とは言え少々では折れたりしませんので、あまり神経質になる必要もありませんが。以上、マキ科の2つの木について解説しましたが、特別な理由がなければ最終的にはお好みで選ぶのが良いかと思います。庭木選びは恋人選びと同じ。ビビっと来た方を選びましょう。