庭木や公園樹として利用が進んでいる月桂樹は、葉や果実の特性含めて世界的に有名な樹木です。
月桂樹における育て方の基本を踏まえつつ、月桂樹の正しい剪定方法についてもまとめてみました。
月桂樹とは
地中海沿岸が原産でローリエの名称でも知られる月桂樹は、クスノキ科ゲッケイジュ属の常緑高木です。
月桂樹は古くから縁起の良いアポロンの霊木として扱われ、若枝を編んで作る月桂冠は勝利のシンボルとしても活用されています。
耐暑性に優れているので初心者でも育てやすいものの、大きくなれば樹高は10メートル以上にもなるので注意しなくてはいけません。
イチョウと同じように雌雄異株といった特性を備え、開花期の4月から5月には雄株なら黄色い花が咲き、雌株の場合には白い花を咲かせます。
とは言え、日本国内では雌株の流通はそもそも少ないため、月桂樹においては黄色い花を咲かせる印象を持つ人が多いかもしれません。
秋に収穫可能な黒紫の月桂実は食用に向いていませんが、油分を含んでいるので石鹸の材料などに使われています。
さらに月桂実を乾燥させた上で粉末にし、それを湯に溶かして服用すれば、健胃薬になるといった民間医療も見られます。
これに対して、季節を問わずいつでも収穫できる月桂樹の葉は、乾燥させると香辛料になります。
総じて清涼感を得られる香辛料に該当しますから、月桂樹の葉はカレーやシチューなど煮込み料理との併用をおすすめできるでしょう。
月桂樹の育て方
まず、月桂樹は苗での購入が主要な入手方法であって、地植えと鉢植えの両方で育てられます。
苗を選ぶ際には良い苗を見極めるためにも、葉の色や状態に加え、根が根詰まりを起こしていないかをくれぐれも確かめてください。
月桂樹は半日蔭の環境でも育ちますが、基本的に日光を好みますので、植えつけ場所や鉢植えの置き場は日当たりの良いところにしましょう。
耐暑性と耐寒性はいずれも相応にあり、風当たりが強過ぎない場所で水はけの良い用土を使用していれば栽培環境は問題ありません。
2年未満の株であれば、水やりは土が乾かない程度必要ですが、地植えで根付いた株には水やりをほぼしなくて済みます。
また、地植えを行っている場合には2月に有機肥料を施し、鉢植えの際には3月に化成肥料を追肥していきます。
植えつけや植え替えは春もしくは秋に行い、これらを実践するときには月桂樹の根を傷つけないように気をつけなければいけません。
月桂樹が枯れる原因になる害虫や病気
月桂樹にて剪定を怠ると様々な害虫が引き寄せられ、最終的には枯れる結果にもつながってしまいます。
特に注意を要する害虫と病気は以下の通りです。
★成虫になると殻で覆われて薬剤が効きにくくなるカイガラムシ
★葉に食害をもたらし美観も損なわせるハマキムシ
★幹に穴をあけて住みつくカミキリムシの幼虫であるテッポウムシ
★カイガラムシの排せつ物から発生するすす病
月桂樹には害虫がつきやすい上に、カイガラムシを放置しているとすす病が発生します。
すす病は光合成を妨げて株を弱らせますし、見た目も非常に悪くなるのでカイガラムシの駆除を欠かしてはいけません。
月桂樹の剪定時期について
月桂樹は枝の伸びる勢いが強く、適度に剪定を行わないと枝が混み合って風通しが次第に悪くなります。
もちろん風通しが悪化すると害虫がつきやすくなりますし、これでは月桂樹が枯れる原因につながりかねません。
真夏や真冬の大幅な剪定はおすすめできませんが、被害の発生を避けるためにも、1年あたり2回から3回ほど春や秋には枝を刈り込んでください。
なお、月桂樹は樹形が安定しやすい常緑高木になっていますから、自然のままであっても魅力的な形に整ってくれます。
その一方で、丈や樹形のアレンジを自由に行えるため、本来の姿とは全く異なるシルエットに作り込むことも不可能ではありません。
このように作り込んだ月桂樹の樹形を維持したい場合には、剪定時期となる春や秋だけでなく定期的な剪定も行うようにしましょう。
月桂樹の剪定方法
新芽の時期に月桂樹の新芽を摘み取れば、月桂樹は樹高を伸ばすよりも横へと枝を広げるようになっていきます。
樹高の成長を抑えつつ、枝の数を増やしたり、花を咲きやすくしたい人には新芽を摘み取る方法が適しています。
もうひとつ、通常の剪定時期に実践する剪定方法においては、重なりあった枝や枯れた枝の切り落としを優先します。
いくら葉を収穫できると言っても、剪定時に葉だけを刈り込んでいくことは望ましくありません。
なるべく不要な枝を付け根から切り落とす方法を選択し、全体のバランスを常に確かめながら剪定を進めてください。
切り落とした枝からは同時に月桂樹の葉を収穫できますので、葉を収穫したいときには剪定の実施もあわせて検討してみましょう。
クスノキ科ゲッケイジュ属の月桂樹は、葉が香辛料になる魅力を備えた常緑高木です。
月桂樹は鉢植えと地植えのどちらでも育ちやすく、栽培環境をしっかり整えると樹高は10メートル以上にも成長します。
剪定時期は春や秋が適していて、葉ではなく不要な枝を付け根から切り落として剪定すれば、自由度が高いアレンジも実現できます。 害虫や病気に注意こそ不可欠ですが、剪定を通して理想的なシルエットを作り込みたい人は月桂樹の栽培に挑戦してみましょう。