牡丹
芍薬
昔から牡丹は清楚で芍薬は華麗という意味で女性をたとえる言葉に使われてきました。実はこの2つの花は色合いや咲き方、形までとてもよく似ていますが、その違いはどこにあるのでしょうか。
牡丹の特徴
いずれもボタン科のボタン属ですが、牡丹は樹木で木のまま越冬し茎から芽を出します。何よりも「剪定」という作業が行われるのは牡丹だけですから、そこが木と草の違いということになります。
そして葉の特徴はギザギザしていてツヤがありません。そして、花が咲く前のつぼみは先が細長く少しとがっています。
花が散る時は一度にパラパラと花びらが落ちていきあっけなく散ります。また開花時期も少しずれていて、4月下旬から5月初め(晩春)となっています。
芍薬の特徴
一方の芍薬は草で冬は根を残したままで枯れてなくなり、翌年の春になると新芽を出しますから全く冬の過ごし方が違います。
葉の特徴は丸みがあってツヤもあり、つぼみの形はというと球形をしていて丸っこいです。花が散る時も最後の1輪までしっかりと佇んで散りますが、花びらがというよりは花の頭ごとゴロンと落ちます。
こちらの開花時期はというと5月初旬から5月下旬(初夏)とあまり長く咲いているわけではありません。
芍薬の花の香りは甘くさわやか
中国では国花が牡丹で芍薬は漢方薬として人気のある生薬で、よく葛根湯などの漢方薬として配合されています。
しかしどちらも英語名では同じ「peony」でありらの人たちにとっては見分けのつかない花となっています。ところが香りことになると話は別で、芍薬はバラのように甘くさわやかな香りがします。
芍薬は漢方薬としても重宝された
芍薬の名前の由来はしなやかで優しい姿を意味する「綽約」からきているとされています。多くの人に重宝がられてきた庶民の花と言えます。
観賞用としてだけではなく生薬としての価値が大きいからです。実際根の部分には消炎・鎮痛・抗菌・止血・抗けいれん作用があることから、風邪薬以外にも婦人病など様々な方面で用いられてきました。色の種類としてもピンクや赤、紫、オレンジなどの他に、斑点や縞模様が入っているなど豊富にあります。
牡丹のほうが育てやすいかな
それでは牡丹はというと中国で花の王として扱われていたものが、日本には奈良時代に伝わったとされていて、平安時代には観賞用として用いられていました。
鎌倉時代以降本格的に品種改良されたのは江戸時代で盛んに栽培されています。文学や芸術の世界で高貴な花として愛され、日本では俳句の季語になっています。
絵画、特に日本画では豪華な花を描くときは代表的な花として選ばれています。育てやすいのはどちらかというと育てっ放しの木の方でしょうか、何もなくなるより枯れ木の姿もまたいいものです。