樹高が比較的コンパクトで、美味しい実がなるのがうれしいブルーベリーですが、あまり甘くならないというお悩みを持つ人も多いのでは?
そこで、甘く育てやすいブルーベリーの品種やブルーベリーを甘くする肥料選び、更に完熟ブルーベリーの見極め方までまとめてご紹介したいと思います。
今からブルーベリーを育てたい方、今栽培中のブルーベリーを甘くする方法を知りたい方必見ですよ!
ブルーベリーは品種によって甘さに差がある
ブルーベリーは、北アメリカ原産のツツジ科スノキ属に属する低木果樹です。
樹高は1.5~3mほどで、白やピンクの釣鐘型の花を咲かせ、花後に青紫の果実を付けます。
大きくなりすぎず、花も紅葉もたのしめる、実を食べることができる、果樹としては丈夫な性質で庭木としても人気です。
食用とされるブルーベリーは、大きく分けて、野生種のローブッシュ系、栽培用に改良されたハイブッシュ系、ラビットアイ系の3タイプに分類され、数百品種があるとされています。
ローブッシュ系は、ワイルドブルーベリーとも呼ばれる野生種で、実は小粒で野性味が強く加工むきで、樹高はコンパクトです。
寒冷地を好み、日本ではあまり栽培されていません。
ハイブッシュ系は、アメリカ北部原産で寒冷地を好むノーザンハイブッシュ系と、ノーザンハイブッシュ系を暖地で栽培しやすいように改良した、サザンハイブッシュ系に分かれます。
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ノーザンハイブッシュ系は、酸味が効いたすっきりとした甘さの実を付けます。
暑さと乾燥に弱く、日本では東北以北の栽培に向きます。
(品種名 チャンドラ、ブルーレイ、エリザベスなど)
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サザンハイブッシュ系のブルーベリーは、酸味と甘みのバランスが取れた味が魅力です。
大粒の品種も多く、関東以南の温暖な土地での栽培に向いています。
ただ、収穫量が多くなると株が弱る品種もあり、長期的な栽培は難しいと言われています。
(品種名 オニール、スター、シャープブルーなど)
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ラビットアイ系は、実のなり始めはピンク色で、熟すにつれて青紫に変わるのが特徴的なブルーベリーです。
他種と比べて晩生で、甘みが強い品種でもあります。
温暖な土地でも育てやすく、病害虫にも強いうえ豊産性の高い品種なので、家庭栽培に向いています。
(品種名 ティフブルー、フクベリー、ホームベルなど)
ブルーベリーを甘くするための肥料
ブルーベリーを甘く育てるには、品種選びだけでなく、肥料も重要です。
一般的に植物の肥料の三要素として、葉や茎を元気に育てる窒素、根と茎を丈夫にするカリ、花や実のつきを良くするリン酸を、バランスよく配合することが知られています。
この窒素は一般的な化成肥料では、「硝酸態窒素」が使われますが、硝酸態窒素を含む土はアルカリ性に傾くため、酸性の土壌を好むブルーベリーには不向きです。
ブルーベリーには、土壌を酸性に保つ「アンモニア態窒素」を含む化成肥料を使用しましょう。
様々なメーカーから販売されている、ブルーベリー用の培養土やブルーベリーの肥料は、土壌のpHバランスや肥料のバランスが考えられた配合なので、まずは専用の用土と肥料での栽培をおすすめします。
もう一つ、ブルーベリーを甘くするために大切なことがあります。
それは、樹上でしっかり実を完熟させることです。
収穫のタイミングにもよりますが、大粒の品種では特に、完熟する前に実が落ちてしまうことが少なくありません。
ブルーベリーは収穫後に追熟しないので、落ちる前の実を収穫すると、酸っぱい完熟前の実ばかり食べることになってしまいます。
これを解消するのが、ブルーベリーに不足しがちなカルシウムです。
植えつけのタイミングでカルシウムを与えておくと、ブルーベリーの細胞壁がつよくなり、完熟前に落下しにくくなるのです。
ブルーベリー専用の培養土でカルシウムを含むもの(鹿沼興産 「ブルーベリーの土」など)を選ぶか、植えつけ前にブルーベリー用硫酸カルシウム(「ブルーベリーの友人」など)を、土壌に混ぜ込んでおきましょう。
植物の肥料のカルシウムとして一般的な、石灰や炭酸カルシウムなどは、土壌のpHバランスをアルカリ性に傾けてしまうので、「ブルーベリー用」と書かれているものや、成分が硫酸カルシウムのものを選ばなければなりません。
ブルーベリーを甘くする肥料のタイミング
ブルーベリー用肥料を与えるタイミングは、新芽を展開する2月から3月に春肥、追肥は収穫前と収穫後です。
専用の肥料を使わない場合には、休眠開けの2月頃にはカリを、開花から実が付く時期(品種によって差があります)、枝が展開し葉が広がる時期にはリンと窒素をメインに与えます。
ただ、実が育つ時期に窒素が多いと、枝や葉の生長に養分を取られて、甘い実が育ちません。
7月~8月下旬には窒素は止めて、涼しくなり新枝が出始めたらまた窒素を与えます。
甘いブルーベリーが食べたいなら完熟を見極めて!
ここまでご説明したように、肥料に気を付けて育てたのにあまり甘くない…という場合、未熟な実を収穫している可能性があります。
ブルーベリーは房のように実を付けますが、房の中でも大きな実から成熟していくので、成熟度にばらつきがあるのです。
だからこそ、一粒一粒成熟度を見極めて収穫することが必要になります。
成熟の目安になるのは
実全体(ヘタの付け根から果柄痕まで)濃い青紫に色づいているか
実が固くないか
果軸(ヘタ)まで青く染まっているか
軽い力で引っ張ると自然に取れるか
という点です。
完熟前に取ってしまったり、あまり甘くならなかった実も、ジャムなどに加工すると美味しく味わえます。
日本では冷凍で流通することが多いブルーベリーを、生で楽しめるのはお家栽培ならでは!
肥料や収穫時期をしっかり見極めて、ジューシーでフレッシュなブルーベリーをご賞味下さい!